| >>『想見の予言書』は、息子が最初にかんがえてくれたお話なのですが、じつはものすっごく悩んだ物語なんですよ・・・(汗) >>それというのも、ゲスト出演している男女2人は、実在の人がモデルなので、その人たちの現実世界の物語とリンクしちゃってたものだから・・・ >>その人たちがズッシリと抱え込んでいた問題をドラマにしちゃったものだから、自分自身でもこの物語がどういう終わり方になるのか想像がつかなかったんです^^;
今回の企画はいろいろあって、以前の様に公開終了後の『座談会』をしておりませんので、裏話がなかなか表に出ません。 折を見て小出しにするのもいいかなと思っていたのですが、早速いい機会に恵まれました(恵まれたなんて書いていいのかな・笑)。 プロデューサーだからこそ知っている裏話を少し出しましょうか。
実は葵女子♪さんの第4話ってのは、もとを正していくと、実はぜんぜん違った、それはそれで物凄く味のあるお話だったんです。しかも第3話の予定でした。 この紆余曲折を知って読むと、『想見の予言書』のメインゲストのお二人に対する作者の『愛』も読み取れるかと……
メフィラス事件解決後の28番街で一人の青年が珍しい古代植物の種を拾います。 その後、テッペイの通う大学で学生たちの行方不明事件が頻発。 調査の流れでテッペイは自分の大学の農学部の温室を訪れるんですが、そこには幼なじみで初恋の人である『サヤカ』ちゃんが。 実はテッペイは小さい頃に「大きくなったら僕がサヤカちゃんを守る!!」と約束していました……
つまり作者は、なぜか怪獣に詳しかったりGUYSに入隊したりする医大生『テッペイ』の動機を、独自に設定したわけです。
けれど、サヤカは別の男の人と付き合ってるんですね。幼少の頃のテッペイとの約束なんて忘れてしまってるんです。残酷なようですが、現実的ですね。 で、ミライとマリナはそんな過去を知って「約束は果たさなきゃ!」とテッペイを奮起させます。 テッペイが頑張って調査を進めた結果、温室の古代植物が生徒たちを襲っていたことが判明!それは、『サヤカの彼氏』が28番街で拾ったものなんです。 テッペイは枯らそうと提案しますが、彼氏は「嫉妬から出たデマカセ」と取り合いません。そればかりか、バイオテクノロジーで復活させた古代植物に成長促進剤まで与えてしまいます。
皆さん、もうお解りでしょう。 丸の内の28番街。皇居のお堀の近いそこで見つかった種は『マンモスフラワー』の種だったのです(まるで石坂浩二みたいな台詞回しだな・笑)。
で、この後はテッペイがマンモスフラワーを文字通り根絶やしにしようと奮起し、骨董品として忘れられていた『地底戦車(男なら燃えるところですよね!笑)』を突貫整備して地底に乗り込みます。 しかし、間に合わせの整備でエンスト。テッペイピンチ!! 地上では科学技術と化学薬品で増強された『超』マンモスフラワーが大暴れ! メビウスが登場し、メビュームシュートで焼……こうとして、それをせず、ただひたすら人々の盾となって頑張ります。 それは、『テッペイに、彼女を守るという約束を果たしてもらいたい』という願いから。 なんとか地底戦車を修理して根を焼き尽くす事に成功したテッペイが地上に戻ります。 でも……テッペイは、自分が守ったなんて事は彼女に言わずに去るのでした。
というお話。物凄いでしょう?! 『エースから後のシリーズ(平成以後は除く)では地底戦車があっても使われていないと聞いた』 『テッペイが異常なほど怪獣に詳しいのは、それなりの理由(動機)があるはず』 『執筆時までにはまだ植物怪獣が出ていなかったので植物を』 『メフィラスの操るバルタンたちの立っていた場所はマンモスフラワーの出没した場所と一緒(当時東京でビル街を背景にしようとしたらここらしかなかったんでしょうね。確かに写真とか見るとそうですよね・笑)』 そして『テッペイの悲恋』。 これだけのものを詰め込んだ「ウルトラを初期から知っている大の男たちがオイオイ泣ける冒険譚」を葵さんは用意していたんです。
ところが!!
放送されてしまったんですね、テッペイの大学ネタが(笑)。しかも初恋がらみ! これで葵さん、いっとき凹みます。それもかなり(笑)。
そして、立ち上がった葵さんはこの話をいったん捨てます!! 思いっきり捨てて、正式に第3話となる『侵奪の水』を書きます。
で、今回参加の全員が第一稿(初稿)の締め切りを翌日に迎えた日のメールで、突拍子も無い事を言って来ます……
『ボツを覚悟でもう一本書いていいですか(^^;? 少し頭におりてきてるみたいなんです(^^;』
既に3本書いている新人が、もう一本書きたいと言っている!もう時間が無い事も解っていて聞いてくる!しかも「ボツを覚悟で」も何も、既に一本自発的にボツにしている人が「もう一本書きたい」と言って来たわけです。都合5作目に取り掛かろうという人を前に、取れる行動はただひとつです。
「身体を壊さない様に書いてください」しか……ないでしょう?!(笑)
あとは想像がつくと思います。削除しなければならない要素を捨てて、残したいものだけ残します。 『サヤカと彼氏という設定は捨てられない(それだけ、モデルとなっている実在のお友達が素敵な方々なんでしょう・笑)』 『なんとかしてテッペイのお話を一本書いてあげたい(ここに葵女子♪の女性らしい優しさがあります)』 そして新しい要素をつぎ込みます。それは……それは本編の前の『GUYSウル博』のコーナーで語られてますのでここでは省きます。
とにかく葵女子♪さん、あなたは素晴らしいですよ。
実在のモデルとなったお二方の抱える問題を、そのまま放り込んだドラマ。 それはかなり作者の胸を締め付けた事でしょう。 岬も、友人や知人の経験を注ぎ込んだりしますし、そのものズバリのキャラを出してしまう事もあります。 だから、そのドラマの成り行きには細心の注意を払います。とはいえ、とってつけたハッピーエンドにする事が正しいわけでもない事も重々承知しているわけです。 悩みますよね。出した事それ自体を後悔することもあります。 でも…… 岬はね、こんな風に自分に言い聞かせてたりします。
出した以上はドラマの中での人生を、そのキャラなりに精一杯生きていてくれればいいかなって。
『彩加』も『修二』も、一生懸命悩んで苦しんで、そして自分たちの人生を自分たちで決めて、再出発してるじゃないですか。 その先にも様々な困難や壁はあるでしょう。それはそれ、その時のドラマです。 このドラマの中に生きている二人は、このドラマに流れる時間の中では、精一杯生きてます。
岬はね、それがモデルになってくれた人たちへの、最高の御礼になっていると思いますよ(笑)。
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