●司令室
リュウ 「くっそ、また取り逃がしちまった……」
リュウ達、ガッカリとした表情で戻ってくると、勝ち誇ったようなトリヤマがたっている。
トリヤマ 「どうかねっ? 私の言ったとおりだったろう?(誇らしげに)私の言葉を素直に信じないから、超獣を取り逃がすことになるのだ。なぁ、マル?」
マ ル 「はい。まったく、そのとおりです」
トリヤマ 「今後はもっと、私の言葉を真摯に受け止めるように」
リュウ 「(舌打ちして)勝ち誇ったような表情しやがって……」
ジョージ 「鬼の首を取ったような言い草も気に食わない……」
マリナ 「(イライラと)なんだか、ムカムカしてきた……っ」
マリナ、怒りに拳を握り締める。
サコミズ 「(険悪な空気を察し)それはそうと、トリヤマ補佐官は超獣の出現場所や時間がどうしてわかったんですか?」
トリヤマ 「簡単なことだ。私が日頃から、怪獣や宇宙人のことについて、熱心に研究を続けておるからだよ」
コノミ 「研究、ですか? (首を傾げて)そんなところ、一度も見たことがなかったけど……」
トリヤマ 「本当の天才というものは、誰も見ていないところでコツコツと努力しているものなのだよ。なあ、マル?」
マ ル 「はいっ! トリヤマ補佐官の努力の賜物でございますっ」
リュウ 「じゃあ、聞きますけど……今度、ガランはいつ出現するんスか?」
トリヤマ 「それはだなぁ……あ〜、ちょっと待ってくれ」
トリヤマ、一同に背中を向けて、再び手にしていた雑誌のページを捲り始める。
コノミ 「この前から、何をコソコソとやってるんですか?(トリヤマの後ろから覗き込む)」
トリヤマ 「(慌てて)あ、こらっ! 勝手に見るんじゃないっ!」
トリヤマ、コノミから雑誌を隠そうとするが……
ジョージ 「(サッと雑誌を取り上げて)何だ、これ……? 週刊誌……?」
コノミ 「へぇー。トリヤマ補佐官も週刊誌なんて読むんですね?(雑誌の表紙を見て)えっと……『またまた的中! 怪獣出現予想の的中率・驚異の100%』……? 何です、これ……」
コノミの言葉に、他のメンバーも雑誌を覗き込む。
ジョージ 「どれどれ? 『本誌所属の小説家が、怪獣の出現する場所や時間までもピタリと当てる』だって?」
リュウ 「(ページを開き)確かに……今日、名古屋の午前9時22分に超獣が出現するって書いてある……」
ミライ 「この前の横浜や函館……那覇に超獣が出現することまで的中させてますよ」
コノミ 「それ以外にも、芸能人の誰々が結婚するとか、野球の試合はどこが勝つとかも予想してますね……」
リュウ 「(ハッとして)……って、ことは……」
ジョージ 「トリヤマ補佐官っ! アンタ、怪獣について研究を重ねた結果、その出現場所が予測できるようになったと自慢しておきながら……」
マリナ 「本当は、この雑誌の記事を口に出してただけなのねっ?」
一同、トリヤマを睨みつける。
トリヤマ 「ご、ごめんなちゃい……っ(小さくなる)」
マ ル 「(庇うように)私が悪いんです。トリヤマ補佐官に『何か尊敬されることを言えば、皆さんの信頼を取り戻すことができますよ』と言ったから……」
ジョージ 「それで、この予言めいた雑誌の記事を引っ張り出したってワケだ……」
サコミズ 「それにしても、こんな予言小説が掲載されていること、補佐官はよく御存知でしたね」
マ ル 「じつは、巷で有名なんですよ。この予言小説……ねぇ、補佐官?」
トリヤマ 「(頷き)そうなのだ。君達は連日のヤプール調査やら何やらに追われて、ワイドショーや情報番組を見る機会がないだろうが……世間では、『毎日の星占いや天気予報よりもよく当たる』と評判を呼んでいるのだよ」
マリナ 「(呆れて)私達が調査なんかで忙しく働いてるってときに……」
リュウ 「この人は、呑気にテレビを見ていたのかよ……」
一同、呆れたように溜息をつく。
ただ一人、テッペイだけが気難しい表情を浮かべている。
サコミズ 「テッペイ、どうした?」
テッペイ 「あ、いえ……この雑誌の記事、不気味なぐらいに未来の出来事を的中させてるなぁと思って……」
ジョージ 「ただの偶然だろ?」
テッペイ 「いえ。偶然にしては、予言が当たりすぎてます。超獣の出現する時間を分単位で的中させてるんですよ? それに、これ……」
テッペイ、記事の一文を指差す。
テッペイ 「ここに、東京GUTSと横浜EYESの試合結果の予想が書かれてるんですが……7対6で東京GUTSが勝つことだけじゃなく、8回裏で東京GUTSのシンジョウが3ランホームランを打つとか……そんなことまで、細かく書かれてるんです」
ミライ 「その予言も当たっていたんですか?」
テッペイ 「(頷き)実際、ここに書かれている文章とまったく同じように、試合が進んでいるんだ……」
リュウ 「おいおい、本当かよ……?」
テッペイ 「これだけ未来に起こる出来事を的中させるなんて……確率論的に考えても絶対にありえないんですよ。それに……」
テッペイ、険しい顔つきで雑誌の記事を見つめる。
その記事の端の方には、田端修二という名前が明記されている。
テッペイ 「(サコミズに振り返り)隊長。この記事を書いた人について、調査をしてみたいんですけど……ダメですか?」
サコミズ 「(首を振り)いや、調査はキミに一任するよ」
テッペイ 「ありがとうございます(一礼する)」
●フェニックスネスト・廊下
テッペイを廊下が歩いていると、ミライが走って追いかけてくる。
ミライ 「テッペイさん。待ってくださいっ!」
テッペイ 「ミライくん……(立ち止まり)どうしたの?」
ミライ 「隊長がテッペイさんの調査を協力しろって……(笑顔をこぼして)一緒に行きましょう」
テッペイ 「(微笑で答えて)……ああ、そうだね」
テッペイとミライ、二人並んで歩き出す。
ミライ 「(歩きながら)まず、あの雑誌の予言小説を書いた人のところに行くんですよね」
テッペイ 「うん。そのつもりだよ」
ミライ 「いったい、どんな人なんでしょうね?」
テッペイ 「不器用な性格だけど、心は優しい人だよ。今は有名なSF作家になるために、小説を毎日書き続けてるんだ」
ミライ 「テッペイさん、その小説を書いた人のことを知ってるんですか?」
テッペイ 「うん(表情を曇らせて)僕の知り合いの彼氏さんなんだ……」
●出版社前
ミライとテッペイ、出版社の入り口へと続く道を歩いている。
テッペイ 「(懐かしむように)僕には、幼なじみのお姉さんがいてね。その人は、僕のことを弟のように可愛がってくれていたんだ。僕が初めて女の人を好きになったときも、その人との仲を何とか取り持とうと協力してくれた……誰にでも親切で、本当に良い人なんだよ」
ミライ 「テッペイさんも、その人のことを本当のお姉さんのように思ってたんですね」
テッペイ 「(はにかんで)わかる?」
ミライ 「ええ。その人のことを話すとき、テッペイさんの表情がすっごく優しい笑顔になってたから……」
テッペイ 「(照れたように笑い)だから、彩加姉さんが幸せになるためだったら、僕は何だってしてあげたいと思ってるんだ。だって、僕にとって大切な人だから……」
ミライ 「僕も協力しますっ!」
テッペイ 「ミライくん……」
ミライ 「テッペイさんの幸せが、僕の幸せですからっ! だって、テッペイさんは僕にとって大切な……そして、大好きな人だから……っ!」
テッペイ 「大好き、ね……(ちょっと引いて)あ、ありがとう、ミライくん……」
テッペイ、複雑そうな笑みを浮かべる。
●編集部
修二、編集長と向き合って打ち合わせをしている。
修 二 「(目を丸くして)書籍としての刊行はできない? どうしてですかっ! 僕の予言小説、雑誌でも好評じゃないですかっ! 最近は各方面のマスコミにも取り上げられるようになってきたし……」
編集長 「まぁ、そうなんだがな……」
修 二 「雑誌だって、僕の予言小説のおかげで売り上げが大幅にアップしてるんでしょう? 読者アンケートの人気調査でも、僕の担当したページに票が一番多く集まってるって聞きましたよ?」
編集長 「確かに、そうなんだけどさ……(渋い表情を見せて)……なぁ、修二。おまえが書きたいものは何だっけ?」
修 二 「え? 何って……小説ですよ?」
編集長 「そうだろ? 小説を書きたかったんだろ?(パラパラと開き)おまえの書いたものは、どう考えても小説として成り立ってないんだよ」
修 二 「小説じゃない……?」
編集長 「(頷き)小説にはさ、ドラマ性つーか……起承転結のような盛り上がりが必要だろうが? おまえの書いた予言小説には、そういうインパクトがどこにもない」
修 二 「インパクト……ですか?」
編集長 「そうだ(雑誌記事を読み)どこどこに怪獣が出現するとか、芸能人の誰と誰が結婚するとか……どこぞのスポーツチームが勝つとか負けるとか……ダラダラと報告書のような言葉が続く小説……そんなモンがいつまでも売れると思うか?」
修 二 「それは……(答えられない)」
編集長 「昔、おまえがウチに持ち込んできた小説があったよな……東京湾に落ちた隕石から、異世界の巨大生物がワンサと出てくるって内容の……えっと、タイトルは何だっけか……?」
修 二 「……『21世紀最大の事件』、ですか?」
編集長 「そうそう、それそれ! あっちの方が、読み物としては格段に面白かったよ。ハラハラとさせるような迫力もあったし、何よりも主人公達の喜怒哀楽の感情が活きていた(紙面を叩いて)この予言小説には、そういったインパクトが欠けてるんだよな」
修 二 「(悔しそうに唇を噛んで)……わかりました。インパクトがあればいいんですね?」
編集長 「あ? ああ、まぁ……そうだな。そういうこった」
修 二 「インパクトがあれば、ちゃんとした小説として本も出してもらえるんですね?」
編集長 「まぁ、検討はしてみるさ」
修 二 「……わかりました。見ていてください」
修二、何かを決意したように言葉を発すると、編集部から出て行く。
●出版社・ロビー
ミライたち、受付フロントで面会手続きを取っていると、偶然にも修二が降りてくる。
テッペイ 「(気づき)修二さんっ! お久しぶりですっ(駆け寄る)」
修 二 「? ……あ、ああ……テッペイくんか……」
ミライ 「(テッペイに小声で)この人があの予言小説を書いた人ですか?」
テッペイ 「(頷いて)あの……修二さん。じつは、少しだけ聞きたいことがあるんですが……」
修 二 「悪い。今、忙しいんだ。また今度にしてくれないか?(サッサと立ち去る)」
●アパート前
修二、アパートのドアの鍵を開けて、自分の部屋へと帰っていく。
その様子を、ミライとテッペイが物陰から見張っている。
ミライ 「あの……どうして、あの人を見張る必要があるんですか?」
テッペイ 「修二さんが書いている予言小説の陰に、ヤプールの陰謀が働いている可能性が高いからさ」
ミライ 「(驚き)ヤプールが……っ?」
テッペイ 「ああ。ドキュメントTACの記録によると、超獣ガランは人気劇画作家・久里虫太郎の描くマンガ通りに現実世界に出現して行動していたらしいんだよ……」
ミライ 「(はたと気づき)それじゃ、修二さんがガランの出現をあらかじめ予言していたわけではなくて……」
テッペイ 「その逆さ。修二さんが書いた予言小説の内容に従って、ガランが日本各地に出現していたんだ」
ミライ 「……となると、ガランの出現を食い止めるためには……」
テッペイ 「修二さんの執筆活動を止めるしかない……」
テッペイの拳に、知らず知らずのうちに力が入る。
テッペイ 「でも、本当に修二さんがガランを操っているかどうか……その証拠がどこにもないんだ」
ミライ 「…………」
テッペイ 「ヤプールが絡んでいるという証拠が一つもないのに、修二さんの執筆活動を邪魔するわけにもいかない……GUYSには、一般人の私生活を抑圧する権利なんてないからね。修二さんの背後にヤプールが存在する……その決定的な証拠が必要なんだよ」
ミライ 「証拠、ですか……」
ミライ、修二のアパートに視線を移す。
●アパート
修二、机の前に座るなり、ノートパソコンの横に置かれた黒い書物を手にする。
古書のページを開くと、その一枚に『午前8時22分、名古屋に怪獣が出没する』と記されている。
編集長 「《M》インパクトが欠けてるんだよ」
修 二 「(唇を噛んで)インパクトがあればいいんだろ……誰もが驚くようなインパクトつけてやろうじゃんか……っ」
修二、古書に文字を書き始める。
修 二 「少しだけ……少しだけでいいんだ……っ。怪獣が街の一部をちょっとでも破壊すれば……世間の注目はもっと集まるに違いない……メリハリもついて、小説としての面白味も増す……っ!」
修二、古書に『怪獣が東京に突如出現、廃墟の一つを破壊する』と書き記す。
●アパート前
修二のアパートの上空が、グニャグニャと複雑に歪み始める。
ミライ 「(気がついて)テッペイさん! あれを見てくださいっ! 空が……空が歪んでますっ!」
テッペイ 「! (メモリーディスプレイを取り出して)……アパートの上空で、異次元振動波が発生しているんだ……」
テッペイがつぶやき終えた瞬間、二人の背後の空がベリベリと破れてガランが出現する!
テッペイ 「ガランだ……っ!」
ガラン、雄叫びを上げて、廃病院へと接近!
口から霧のようなものを廃病院へ向かって噴射する!
廃病院、ガランが吐く白い霧を受けた瞬間に消失してしまう。
ミライ 「病院が消えた……っ!」
テッペイ 「くそっ! (司令室へ)隊長! ガランが出現しましたっ! ウィンダムの使用許可を……っ!」
●司令室
テッペイからの通信を聞いたリュウたち、すぐさまヘルメットを手に飛び出している。
サコミズ 「(頷き)メテオール解禁っ! 今度こそ、ガランを逃がすなっ!」
●アパート前
テッペイ 「GIGっ! (メモリーディスプレイにカプセルを装填)ウィンダム、頼むぞっ!」
ウィンダムがカプセルから解き放たれ、ガランに向かっていく。
ガランもなかなか強いが、ウィンダムの怪力には敵わない。
あっという間に、ウィンダムによって押さえ込まれてしまう。
●アパート
アパートの窓からは、ガランとウィンダムの戦いが見える。
窓から見えるガラン、ウィンダムに右肩を叩かれる。
修 二 「痛……っ!(右肩に激痛が走る)」
修二、痛みが走ったところを見る……と、その箇所にはアザができている。
修 二 「ど、どうして、こんなトコにアザが……?」
●アパート前
その間にも、ウィンダムとガランの戦いが続いている。
テッペイ 「ウィンダム、ガランを攻撃するなっ! できるだけ無傷で取り押さえるんだっ!」
ウィンダム、大きく頷いてガランを羽交い絞めにする。
そこへ、ガンフェニックスとガンブースターが接近してくる。
●ガンフェニックス・操縦席
リュウ、動きを抑え込まれたガランを見て、ニヤリと笑みを浮かべる。
リュウ 「よーし! ウィンダム、そのまま押さえてろよ……っ! 今度こそ、逃がしゃしねぇっ!」
●アパート前
ガンフェニックス、ガンブースターからそれぞれビームが発射される。
ガランの表皮に火花が飛び散り、その痛みでガランが悶え苦しむ。
●アパート
修 二 「(絶叫)ぐぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーっ!」
ガランの痛み、そのまま修二に伝わっている。
修二、ガンフェニックスから攻撃されるガランを見て、
修 二 「あの怪獣が攻撃を受けると、俺にもダメージが伝わるって言うのか……? (脂汗をたらし)それじゃあ、あの怪獣が倒されたら……俺は……俺はどうなるって言うんだ……っ?」
修二、激痛で息も絶え絶えの状態である。
●アパート前
テッペイ 「(メモリーディスプレイに)リュウさんっ! ジョージさんっ! 攻撃をやめてくださいっ!」
●ガンブースター・操縦席
マリナ 「(怪訝そうに)攻撃をやめろっ? どうしてよ、テッペイくんっ!」
ジョージ 「やっと、取っ捕まえたんだぞっ! 今のうちに倒しておかないと……っ!」
テッペイ 「《通信》ガランを倒しちゃいけないんですっ! ガランを倒すと……それを操っている人まで死んじゃうんですよっ!」
ジョージ 「(驚愕して)人が死ぬだと……っ?」
●ガンフェニックス・操縦席
リュウ 「(動揺して)どういうことだよっ? テッペイ、ちゃんと説明しろっ!」
●アパート前
テッペイ 「ドキュメントTACの記録によると、ウルトラマンAによってガランが倒された直後、その超獣を操っていた劇画作家も
ガランと一緒に死んでしまったらしいんです……っ!」
ミライ 「! それじゃ、あの超獣を僕等が倒してしまうと……」
テッペイ 「(頷き)ガランを呼び出した人物……つまり、修二さんが死んでしまうことになる……」
テッペイ、メモリーディスプレイをギリリッと握り締める。
テッペイ 「彩加姉さんの幸せを守るためにも……修二さんを殺しちゃうわけにはいかないんだ」
●ガンブースター・操縦席
ジョージ 「おまえの気持ちはわかるが……じゃあ、一体どうすりゃいいって言うんだっ?」
マリナ 「そうよっ! いつまでも、ウィンダムに押さえつけてもらうわけにもいかないでしょっ?」
●ガンフェニックス・操縦席
リュウ 「まったくだ……っ! マケット怪獣が活躍できるのは、最大で1分間だけなんだぞっ? 1分を過ぎれば……」
●アパート前
リュウが言葉を言い終えると同時に、ウィンダムは緑色の粒子となって消えてしまう。
ミライ 「ウィンダムが……っ!」
ウィンダムから解放されたガラン、リュウ達に向かって霧を吐きかける。
ガンフェニックス、白い霧から間一髪で逃れるが、その背後にあったビルが霧を浴びて消失する。
ガラン、激痛にのたうちまわるようにして、白い霧をあちこちに噴出している。
●ガンフェニックス・操縦席
リュウ 「(逃げ続けながら)テッペイ……っ! 俺たちは、みんなが安心して暮らせるようにしなくちゃいけねぇんだ! わかってくれ……っ!」
リュウ、ガランの足元に向かって攻撃を開始する。
●ガンブースター・操縦席
ジョージ 「冷たいようだが……俺も、心を鬼にさせてもらうぞ……っ!(攻撃を行う)」
●アパート前
ガンフェニックスとガンブースター、ガランの足元へ威嚇攻撃を行っている。
そのうちの何発かは、ガランに命中している。
●アパート
修二、痛みにのたうちまわっている。
修 二 「(歯を食いしばって)このまま……むざむざと殺されるもんか……っ!」
修二、痛みを堪えながら、本に文字を書き込む。
修 二 「俺は生きるんだ……っ!」
フラッシュ・電話での母との会話……
修 二 「そして、世界最高のSF作家になるんだ……っ!」
フラッシュ・編集長の言葉……
修 二 「そうすれば、俺も……っ!」
フラッシュ・恋人にプレゼントを贈る男性……
修 二 「彩加も……っ!」
フラッシュ・交際5年目のカレンダー……
修 二 「幸せになれる……っ!」
フラッシュ・彩加のおごりで食べたレストランの食事……
修 二 「俺は……俺は……」
フラッシュ・彩加の泣き顔……
修 二 「俺は、絶対に幸せになってやるんだぁぁぁぁーーーーーっ!」
修二、狂ったように「ヒヒヒ……」と笑い始める。
修 二 「こうなったら、GUYSなんかには倒せないほどの強敵を誕生させてやる……っ。GUYSだけじゃない……っ。ウルトラマンメビウス……いや、光の国の戦士の誰にも倒せないほどの強敵を生み出してやる……っ!」
修二の目、何かに取り憑かれたように赤い光を発し始める。
●アパート前
アパート上の空が、捩れたように渦巻き始める。
テッペイ 「(メモリーディスプレイを見て)異次元振動波の数値が……さっきよりも増大している……っ。このままじゃ……っ!」
テッペイ、アパートへと向かって走り出す。
ミライ 「テッペイさんっ? (慌てて後を追う)」
●修二の部屋
ミライたち、修二の部屋に駆け込んでくる。
部屋の中央には、修二がグッタリと倒れている。
テッペイ 「修二さんっ!」
テッペイが修二の下に駆け寄ろうとしたとき、彼の前に老人が立ちはだかる。
テッペイ 「誰だ、おまえは……っ!」
老人、ニタニタと笑みを浮かべて答えない。
ミライ 「(テッペイの前に割って入り)気をつけてください……っコイツは、ヤプールです……!」
テッペイ 「え……っ?」
ミライ 「(睨みつけて)ヤプールっ! 一体、何を企んでいるっ?」
老 人 「何も企んでいないさ。ただ、この男の心の内に眠る欲望……それを、呼び覚ましてあげただけだ……」
ミライ 「何だと……っ?」
老 人 「この男の中には『満たされたい』『認められたい』『幸せになりたい』という夢想が渦巻いている……その夢想が現実のものとなるよう、彼の夢の手助けをしてあげたのだ……」
ミライ 「夢の手助けだって……?」
老 人 「そうだとも。この男が願うのなら、海の色を真っ黄色に染めることもできる。山々を茶色に染めることも……」
ミライ 「ふざけるなっ!(銃を撃つ)」
老人の胸に、ミライが放ったビームが命中する。
老 人 「私を倒しても無駄だ……この男の夢は、誰にも止められん……(消えていく)」
老人が消えた瞬間、アパートから見える窓の向こうに紫色の光が明滅する。
テッペイ 「(驚き)な、なんだ……っ?」
ミライとテッペイ、驚いて窓の外に視線を向ける。
●アパート前
ガランの隣に、紫色の光柱が伸びる。
その光柱の中から、宇宙人のような異型の怪人が姿を現す。
●ガンフェニックス・操縦席
リュウ 「(目を見張り)新手の敵……っ? アイツも超獣なのか……っ?」
●アパート前
怪人、ガランを庇うようにしてGUYSメカに攻撃を開始する!
ガンフェニックスとガンブースター、怪人の攻撃を受けて失速・不時着する!
●修二の部屋
テッペイ、修二の手元に転がっていた本を拾い上げる。
ミライ 「何て書いてあるんですか?」
テッペイ 「ちょっと待って……! (読み) 『怪獣でも超獣でもない、未知なる強敵が出現……GUYSやメビウスを倒す』だって……?」
ミライとテッペイ、顔を見合わせる。
テッペイ 「(怪人を見上げて)あれは、修二さんが作り上げた、オリジナルの宇宙人なんだ……っ」
文章の続きには、『ミラージュの力は絶大である。光の国の戦士の誰にも止められない』と記されている。
テッペイ 「(続きを読み)光の国の戦士には止められない……?」
ミライ 「(ゴクリと唾を飲み)……テッペイさんは、修二さんの傍についていてくださいっ!」
ミライ、言うが早いか玄関から飛び出していく。
●アパート前
ミライ、メビウスに素早く変身っ!
メビウス、ミラージュに向かっていく。
しかし、ミラージュは異常なまでに強く、メビウスはまったく手も足も出ない。
それに加えて、ガランまでもがメビウスを攻撃してくる。
メビウス、ガランに攻撃を加えることができず、押されていく一方である。
ミラージュとガランの連携攻撃に、メビウスのカラータイマーが早くも点滅を始める。
メビウス、何とか劣勢を打破しようと、ミラージュに光線を発射する。
だが、ミラージュは光線を受けても全然堪えていない。
●修二の部屋
テッペイ 「ウルトラの国の戦士には止められない……それって、どんなウルトラ戦士の攻撃も通用しないってことなのか……っ?」
テッペイ、どうしようもない状況に苦虫を噛み潰したような顔になる。
テッペイ 「何か良い方法はないのか……? 何か……っ」
考えあぐねるテッペイの脳裏に、老人の言葉が思い出される。
○回想
老 人 「この男が願うのなら、夢想を現実のもとに変えることができる……」
●修二の部屋
テッペイ 「願いを現実に変えることができる……? (黒い本を見て)……そうだ、コレを使えばっ!」
テッペイ、修二が文字を書いたページの終わりを開く。
テッペイ 「光の国のウルトラマンでは勝てないと言うことは、裏を返せば『光の国以外のウルトラマン』なら勝つことができるということになる……っ! 」
テッペイ、本に『光の国とは違う、地球の自然が生んだようなウルトラ戦士が出現する!』と書き記す。
●アパート前
苦戦するメビウスの前に、緑色の光の柱が立ち上る。
そこから出現した者は……緑色のカラーに彩られたウルトラマンっ!
ガンフェニックスやガンブースターから脱出したリュウたち、新たなウルトラマンを呆然と見上げる。
マリナ 「なに、あれ……」
ジョージ 「緑色のウルトラマン……?」
リュウ 「マジかよ……」
●司令室
サコミズとコノミ、トリヤマ補佐官達も呆然としている。
トリヤマ 「なんだ、あの巨人は……っ! 我々、人類の味方なのか……?」
マ ル 「……さぁ?」
サコミズ 「そうなんじゃ……ないですか?」
●修二の部屋
テッペイ 「本当に……本当に書いたことが現実となった……」
テッペイ、興奮したように本と巨人を見比べる。
●アパート前
緑色のウルトラマン、メビウスを助け起こすと、ミラージュの方へ立ち向かっていく!
緑のウルトラマン、怪人にキック! ミラージュ、正面からビルへ突っ込む。
ウルトラマン、畳みかけるように攻撃を仕掛けようとする。
それを、ミラージュが頭突きで反撃!
謎のウルトラマン「ウワァっ!(虚を突かれて吹き飛ぶ)」
なんと、ミラージュは両手両足の関節の前後を変換し、背部を正面に回して立ち上がる。
ガランもミラージュの加勢に加わろうとするが……それを、メビウスが取り押さえる。
メビウス、ガランから一方的に攻撃を受けるが、それを懸命に耐えている。
●修二の部屋
テッペイ 「メビウス、ガランを傷つけないようにしてくれているのか……修二さんを守るために……」
テッペイ、床に倒れている修二を見る。
修二、傷による激痛のために荒い息を吐いている。
●アパート前
ガラン、ミラージュの援護へ入ろうとするが……それを、メビウスが取り押さえる。
ミラージュ、謎のウルトラマンが天敵であるのか、あっという間に追い詰められていく。
●アパート
テッペイ、修二の手当てをしながら、
テッペイ 「やっぱり……! 光の国出身の戦士の技は効かなくても、それ以外のウルトラ戦士の技には弱いんだ……っ!」
テッペイ、自分が生み出したウルトラヒーローの活躍に、思わず手に力が入る。
怪人が受けるダメージは、修二には同調してないらしく、修二の身体にアザはできていない。
修 二 「…………(うっすらと意識を取り戻して)緑の……ウルトラマン……?」
修二、ボヤけた視界の中で、緑のウルトラマンの闘いを見る。
しかし、すぐに意識を失ってしまう。
●アパート前
緑色のウルトラマン、怪人を投げ飛ばす!
怪人、もう立ち上がることもできない。
緑色のウルトラマン、止めを刺そうと構えを取る。
カラータイマーの周辺にある飾りが黄金の輝きを発する。
緑のウルトラマンが右手を構えて突き出すと、目も眩むばかりの真っ赤な光線が放たれる!
怪人、緑のウルトラマンの光線を受けて爆発・四散する!
緑のウルトラマン、今度はメビウスが取り押さえているガランに向かっていこうとする。
●アパート
テッペイ 「待ってくれっ!(窓から身を乗り出して)その超獣は、空想の世界から生み出された生物なんだっ! 修二さんの夢や想像が詰まった怪獣なんだよっ!」
緑のウルトラマン「…………(黙って聞いている)」
テッペイ 「ガランを倒すと、修二さんの夢も破壊されてしまう……っ。頼むっ! ガランを夢の世界へ連れ帰ってくれないかっ? この本と一緒に……っ!」
テッペイ、修二が手にしていた本をかざす。
テッペイ 「この本も……ガランも……っ! ここの世界にはいちゃいけないんだ……っ! この本とガランを元の夢の世界へと返してやってくれっ! 僕の夢から生まれたキミなら……それができるだろうっ?」
●アパート前
緑のウルトラマン「…………(大きく頷く)」
緑のウルトラマン、右手の人差し指をテッペイの方へと伸ばす。
その指先から光線が放射され、テッペイが掲げていた本を照らし出す。
本、テッペイの手元から離れて、緑のウルトラマンの頭上へとゆっくり昇っていく。
緑のウルトラマン「ハァァァ……っ」
緑のウルトラマン、太極拳のような長い息を吐く。
それと同時に本のページが開き、そこから白い霧が噴出される。
白い霧に包まれたガラン、蜃気楼のように消えていく。
その後を追うようにして、緑のウルトラマンの姿も揺らいで消えてしまう。
後には、メビウスだけが残されている。
●修二の部屋
修二、ガランが消えた直後、完全に目を覚ます。
修 二 「(テッペイを見て)……あれ? テッペイくん……」
テッペイ 「気がつかれました? 修二さん……」
修 二 「あ、ああ……(上体を起こして)僕は……いったい、何をしてたんだ……?」
修二、キョロキョロと辺りを見渡して、黒い本がないことに気づく。
修 二 「あ、あれっ? 本はっ? (テッペイの両肩を掴み)本はどこへいったんだっ?」
テッペイ 「本は消えましたよ……」
修 二 「消えた……?」
テッペイ 「ええ。次元の彼方へ……もう、あの本が現れることはないと思います」
修 二 「(愕然と)そんな……あの本がないと……」
修二、本が消えたという事実に、計り知れないほどのショックを受けている。
修 二 「あれがないと……僕は幸せになることができない……」
テッペイ 「幸せになるために、あの本が必要だと言うんですか?」
修 二 「ああ、そうさ……っ! テッペイくんっ! キミは知らないかもしれないけどね……っ! あの本は、人の夢を叶えてくれる魔法の本なんだっ! あれさえあれば、僕は有名な作家にもなれるっ!」
テッペイ 「…………」
修 二 「彩加のことだって幸せにすることができる……っ僕のために、アイツに苦労をかけることもなくなるっ! あの本の力で、僕の夢も……アイツの夢さえも叶えることができるんだっ!」
テッペイ 「……本当に、あの本が修二さんの夢を叶えてくれると思っているんですか?」
修 二 「思ってるさ! 思ってるともっ! だから、彩加だって、僕の元に帰ってきてくれたんだぞっ!」
テッペイ 「修二さん……それは、違いますよ」
テッペイ、首を横に振る。
テッペイ 「あの本に願いを書き込んだから、彩加姉さんが帰ってきてくれたわけじゃありません……修二さんが夢に向かって頑張り続けているから……その夢を応援したくて、姉さんは修二さんの元に戻ったんです」
修 二 「僕の夢を応援するために……? でも、僕の夢に付き合うのは疲れたって……あの一言がウソだったとは思えない……っ」
テッペイ 「たしかに、その一言は彩加姉さんの心の叫びだと思います。けれど、修二さんの夢を応援をしたいという気持ちもまた本物なんです」
修 二 「…………」
テッペイ 「もしも、本当にあの本によって夢が叶えられてたんだとしたら……あの本が次元の彼方へと消えてしまったいま、姉さんがこの場所に戻ってきてくれるはずがないでしょう?(背後を振り返る)」
修 二 「え? (背後を振り返る)」
二人が振り返った先には、彩加が息を切らせて立っている。
修 二 「彩加……おまえ、どうしてここに……?」
彩 加 「どうしてって……怪獣がこの近くに出現したってニュースを聞いて走ってきたの! そんなことより、大丈夫なのっ? 怪我なんかしてないっ?(歩み寄り)大変……っ! アザができてるじゃないっ! 冷やさなくちゃ!」
彩加、冷凍庫を開けて、製氷皿を引っ繰り返すが……何も出てこない!
彩 加 「あーっ、もうっ! 氷がないじゃないっ! 待ってて! すぐ買ってくるからっ!(部屋を飛び出していく)」
テッペイ、彩加のアタフタした態度を見て、クスッと笑みをこぼす。
テッペイ 「あの態度を見てもわかるでしょう? 彩加さんは、あの本の魔力によって修二さんの元に帰ってきたんじゃない。自分自身の意志の力で、修二さんの元に帰ってきたんです。修二さんのことを本当に好きだから……」
修 二 「僕のことが……好きだから……?」
テッペイ 「(頷き)そうじゃなきゃ、自分が妊娠していることも忘れて、あんなに急いで帰ってくるはずもありませんよ」
修 二 「(驚き)妊娠……っ? 彩加、妊娠してるのかっ?」
テッペイ 「いま、三ヶ月目だそうです」
修 二 「(唖然と)そう、なのか……でも、そんなこと……アイツは一言も……」
テッペイ 「言えなかったんですよ。修二さんの夢を守りたかったから……」
修 二 「俺の……夢……?」
テッペイ、大きく頷く。
○回想・病院前
テッペイと彩加、ベンチに並んで腰掛けている。
テッペイ 「でも、姉さん……本当にいいんですか?」
彩 加 「(しばらく無言のまま俯いて)……いいのよ。あの人のためだもの」
テッペイ 「修二さんのため?」
彩 加 「(頷き)子どもを産むとなれば、私は仕事を休まなきゃならない……当然、出産や育児で今以上にお金だってかかっちゃうでしょ? そうなったら、修二は夢である作家活動もやめて働かなきゃならなくなる……修二の夢を叶えるためにも、あの人に負担を背負わせたくないのよ……」
テッペイ 「だから、一人で子どもを育てるというんですか……?」
彩 加 「ええ。今はシングルマザー支援もあるしね。母子二人だけなら、何とか生活をしていけると思うから……」
●修二の部屋
修 二 「アイツが、そんなことを……」
テッペイ 「(頷き)でも、本当は修二さんに支えてもらいたかった……甘えたかったんだと思います。姉さんは人前で弱味なんて見せないけど、本当は人一倍に寂しがりやだから……」
修 二 「…………」
○回想(数日前)
彩 加 「《M》私だって、不安なのっ! 誰かに頼りたいのっ! 甘えたいときだってあるのっ!」
●修二の部屋
修 二 「そうか……だから、あのとき……」
テッペイ 「(微笑んで)夢を捨ててくださいとは言いません。修二さんの夢が叶うこと……それが、姉さんの夢でもあるんですから……ただ、姉さんのことを支えてやってください」
修 二 「……ああ、そうだな(微笑みをこぼす)」
●司令室
隊員たち、テッペイからガラン事件の詳細について聞かされている。
コノミ 「そういうことがあったんですか……」
ジョージ 「自分の理想を現実にできる本、か……そういうものが本当にあるのなら、誰でもすがりたくなるよな……」
マリナ 「(頷き)現実に打ちのめされて、自分に自信が持てなくなったら余計に……私だって、そんな時があったもの……」
リュウ 「ヤプールは、人間のそんな弱い心を利用しようとしたんだろうな……」
サコミズ 「そうだろうね……でも、夢は自分自身の力で叶えるものだ。たとえ、どれだけ現実に押しつぶされようとも……」
サコミズの言葉に、全員は大きく頷く。
ジョージ 「それにしても、不思議なもんだよな」
リュウ 「何がだよ?」
ジョージ 「修二さんと彩加さんの二人の関係だよ。昔から、どうしてだかダメな男には良い女がつくようになってるだろ?」
リュウ 「(思い返して)まぁ……確かにな……」
ジョージ 「それじゃあ、俺たちも……」
リュウ 「ある程度、好い加減に生きてた方が幸せになれるんじゃ……」
マリナ 「そういうことじゃないでしょっ!」
マリナとコノミ、二人を睨みつける。
マリナ 「ダメ男でいいっていうワケじゃないのよ?」
コノミ 「(同じく睨んで)そうですよっ! 女はいつだって、男の人に頼りたいんですからっ」
リュウ 「(焦り)わ、わかってるよっ!」
ジョージ 「別にだらしなく生きようなんて考えてないって……っ!」
リュウ 「だから、そんな目で睨むなっ! なっ? なっ?」
リュウとジョージ、女性二人に言い寄られてタジタジになってしまう。
そんな情けない男二人の様子に、サコミズ・ミライ・テッペイはクスクスと笑みをこぼす。
●アパート前
スーツ姿の修二、紙袋を下げたまま、携帯電話で会話している。
修 二 「ああ、今度は大丈夫だよ、母さん……うん、わかった。わかったから! もう切るぞ? 彩加が待ってるんだから。じゃあな!」
修二、携帯電話を切って、自分の部屋のドアを開ける。
●修二の部屋
修 二 「ただいま〜」
彩 加 「(料理をしながら)おかえりー! 初仕事、どうだった?」
修 二 「(ヘトヘトと)やっぱ、すぐに仕事に慣れやしないな……でも、意外と楽しいよ。職場の人、みんな良い人だし……(紙袋を思い出して)あ、ほら。お土産だ」
彩 加 「(受け取る)なに? これ……」
彩加がお土産の紙袋を開けると、中にはウルトラマンの人形が入っている。
彩 加 「(プッと吹き出して)ドラマとかでよく見るけどさ。本当なんだね」
修 二 「何がだよ?」
彩 加 「男親は、子どもが生まれてもいないのにオモチャを買ってくる」
修 二 「わ、悪かったな……っ(照れ臭そうにソッポを向く)」
彩 加 「(笑って)あ、そうだ。お風呂沸いてるから、ご飯前に入ってきたら?」
修 二 「いや、もう一仕事してからにするよ(ノートパソコンを開く)」
彩 加 「仕事帰りで疲れてるのに、もう小説を書くの?」
修 二 「うん。やっぱり、夢を追いかけていたいからさ……」
修二、カチャカチャとキーボードを叩き始める。
修 二 「……あ、そうだ(手を止めて)なぁ、彩加……」
彩 加 「なに?」
修 二 「近いうちに……その……結婚しないか?」
彩 加 「え……?(目を丸くする)」
修 二 「だから……俺の小説が売れるか……もしくは、今の仕事の収入が安定したらの話なんだけど……」
彩 加 「(笑って)……うんっ」
彩加、嬉しそうに笑顔をこぼす。
修 二 「そうと決まったら、小説を頑張って書き上げないとな」
修二、再びノートパソコンに向かい合う。
修 二 「まずこの小説に登場する、新しいヒーローの名前を考えないと……(少しだけ考えて)そっか……地球生まれだもんな……(タイトルを打ち込む)」
パソコンにタイトルが打ち込まれる。そのタイトルは……『ウルトラマンジオ』!
●大型書店
場所は変わって、大型書店の参考書コーナー。
学生の一人が、書店で受験用の赤本を探している。
その赤本の中に、場違いの本……あの予言書が混ざっている。
学 生 「なんだ、これ? (パラパラと捲り)白紙じゃねぇか……?」
学生、怪訝な表情を浮かべている。
その様子を、書棚の陰からあの老人の片目が覗いている。
老人、ニタッと笑って踵を返して帰っていく。
■次回予告■
若い父親 「朝マっクって」
若い母親 「こんな田舎で?」
村 長 「マっクを誘致しようって?!」
政治家 「村にマっクって……」
首 相 「マっク?」
議 員 「どうしてマっクなんだ?!」
ミサキ女史「日本政府より正式要請です」
『夢の朝マっク』
男の子 「GUYS!SALLY GOっ!!」
子供たちとGUYSメンバー「G.I.Gっ!!」
遂に最終回。ご期待下さい。
臨時特報!!
“ZET……TON……!!”
◆ブレードを構えて低空飛行のツルギ!
ゼットンの寸前で大地を蹴って宙返り!
◆憂うウルトラマンキング。
その前にひざまずく、ベテランの風格漂うウルトラ戦士。
◆ゼットン、ツルギの光線を胸で受け、腕から放射!
倒れたツルギをゼットンが蹴り転がす!
◆バック転のツルギ……
迫るトリプルゼットン……
◆ナイトブレスを天に掲げ、腕を十字に組むツルギ。
眩い光が放たれてタイトル・イン……
ウルトラマンメビウス外伝
ヒカリサーガ
◆炎に包まれる黒い惑星。
それを見つめるツルギにかぶせて、スーパー。
SAGA X
剣の勲
このあと緊急公開!!