(CM明け)
●空中
全速力で多々良島に向かうガンブースター。
●コックピット
リュウ 「いつも冷静なミサキ女史とは思えないな」
ジョージ 「隊長が全く出番なしとはな、恐ろしい迫力だぜ」
●カットイン、フェニックスネスト作戦室。
サコミズ 「は、は、は、ハック……(くしゃみをしかけるけど、何とか飲み込む)」
●コックピット
キャノピーの向こうに、メビウスの顔が見える。
メビウス 「(エコーのかかった声で)どうして僕はこの姿で行かなくちゃいけないんですか?」
リュウ 「しょうがねぇだろ!一番早いからってんでガンブースターに乗せられたのはいいが、座席は二つしかねぇんだからよ。いいじゃねぇかお前、飛べるんだからさ」
メビウス 「何か間違ってる気がするんですが」
●もう放送時間も少ないので、一気に多々良島
垂直に降下してくるガンブースター。
から、降りてくる2隊員。画面横から、人間の姿に戻ったミライもやってくる。
リュウ 「で?ペギラはどこなんだ」
ミライ 「あそこです」
ミライの指差す方向に向かう。岩山を迂回すると、岩陰から、海辺で黄昏ているペギラが確認できる。
●海岸
砂浜。しゃがみこみ、明らかに落胆している様子のペギラ。
翼の先で、砂に「の」の字を書いている。
●岩陰
ジョージ 「ぷっ(噴出して)見てられねぇな、男に振られたくらいで、あんなに凹んじゃってよ」
リュウ 「でもな……こうやって近くで見ると、切ないもんだな。女性陣があれだけ言いたくなるのも、解らないじゃねぇ」
ジョージ 「何言ってんだよ、今頃。アミーゴ、さっきまで振られ虫のペギラ見て腹抱えて笑ってたじゃねぇか」
リュウ 「ジョージ、お前、恋人を切らしたことねぇだろ」
ジョージ 「あぁ?……まぁな、日本でもスペインでも、常にセニョリータが俺をほっておかなかったからな」
リュウ 「じゃ、解らないだろうよ。ペギラはな、あんなデカブツに生まれ付いちまって、地球を股に駆けて飛び回ることは出来ても、一匹として同じ仲間に会ったことがないんだ、きっと。それが初めて、自分に似た種族のオスを見つけちまった。(自分の台詞に酔っているかのように、歩き出す)文字通り一生一度の恋が、門前払いなんだからな、悲しいぜ。同情しちまうな」
ジョージ 「はんっ!(鼻で笑う)ミライ、どう思う、このロマンチックかぶれ……っておい!」
ジョージ、驚いてミライを見る!なんとミライ、泣いている!
ミライ 「今頃、どうしてるかなぁ……」
ミライ、青空に輝く「ウルトラの星」を見上げてさめざめと涙を流している。
リュウ 「ジョージ、解ってやれよ。あいつ、彼女と300万光年の遠距離恋愛だぜ」
ジョージ 「って彼女いたのかよ!聞いてねぇよ!」
ミライ 「何とかしてあげましょうよ、リュウさん!ジョージさん(滂沱の涙)」
リュウ 「ああ、でも何とかっつってもなぁ……」
と!そこに!
きしぇあああああ!!!!!
密林の向こうから、レッドキング登場!先ほどチャンドラーに対して一敗地にまみれているため、機嫌が悪い。
あぁん?見慣れねぇ顔だな、と言わんばかりにガンつけて近寄ってくる。
気弱になっているペギラ、後ずさる。波打ち際に到達、ペギラの足に接触した海水は凍りつく。
ごわあああああ!!!
何とか威嚇の声を上げてみるペギラだが、対怪獣戦は初めてのため、明らかに怯えている。
ミライ 「大変だ!助けないと」
ミライ、左手首にメビウスブレスを出現させるが、
リュウ 「ちょっと待て。ペギラを助けるのはお前じゃない、そうだなジョージ」
ジョージ 「ああ、行って来る」
駆け出すジョージ。ガンブースターを発進させ、島の中央に飛び去っていく。
●上空
飛ぶガンブースター。
●コックピット
ジョージ 「さっき、冷凍マグロの一件があったのは確か……」
レーダーを見たり、直接キャノピーから外を覗いたりしているジョージ。
ジョージ 「!よし、見つけたぜ!」
そこにいるのは、前歯が痛いチャンドラー。前歯が痛いのでこれまた機嫌が悪い。
ジョージ 「ガトリングデトネイター!」
●密林
ジョージが撃ったビームがチャンドラーの目の前に着弾。もちろん直撃はさせない。
が、機嫌の悪いチャンドラーはこれで怒りだす。
ぎぇええええああおおおおお!!!
チャンドラー、追ってくる。飛び道具を持たないので飛びかかろうとするが、ペギラほどの飛行能力がないので、ジョージの操縦テクニックに翻弄され、海辺に誘い出されてくる。
●コックピット
ジョージ 「そうだ、付いて来い。お前の相手は俺じゃない……」
●海辺
飛び掛るレッドキング!羽ばたいて避けるペギラ、しかしその足をつかんで地上に引き摺り下ろすレッドキング!
ミライ 「ああ!ペギラが危ない」
リュウ 「……そうかなぁ」
レッドキング、ぢっと手を見る。
一瞬で凍傷にかかってしまっている。
ペギラを睨む。
逆に地面に叩きつけられたペギラのほうも頭に来ている。睨み返す。
……
ビビリ気味のレッドキング。
ペギラ、とうとう伝家の宝刀・冷凍光線を吐く。
レッドキングの足元に着弾、今度は足が凍傷にかかる。
今度は積極的に攻撃に移るペギラ。のっしのっしとレッドキングに迫る。レッドキングの方が後ずさり。
リュウ 「どう見ても危ないのはレッドキングなんだが」
ミライ 「地球って、どの生物も女性の方が強いんですか」
リュウ 「ううむ、否定しきれないな」
と、そこに、上空からガンブースターが帰ってくる。
それを追って、チャンドラー登場!
途端に牙をむき出した表情を改めるペギラ。
「きゃーこわいー」とばかりにチャンドラーの背中に隠れる。
チャンドラー、迷惑そう、ではあるが、宿敵レッドキングを認めると、牙を剥いて(一本足りないけど)向かっていく。
リュウ 「……調子のいい奴だな」
ミライ 「でも、結果オーライですね」
岩陰に隠れ、顔を半分だけ出してみているペギラ。
レッドキングと組み合うチャンドラー。
(無責任とお思いかもしれませんが、1〜2分くらい、皆さんの頭の中で「かっこいい格闘シーン」を思い浮かべてください)
優勢だったチャンドラー、しかしウルトラ怪獣の名門・レッドキングもやられているばかりではない。
翼チョップをしかけるチャンドラーの右腕を引っつかむ!
ぼき!
右の翼の先がレッドキングの握力で握りつぶされる!
ぎゃああああ!!!
悲鳴を上げるチャンドラー!
ペギラ、愛しの君のピンチに決起!岩陰から飛び出してレッドキングに向かう。
レッドキング、チャンドラーを振り回してペギラに向かって投げ飛ばす!鉢合わせになってともに転倒するチャンドラーとペギラ。
チャンドラー、砂浜に倒れる。右腕の痛みで苦しい。
ペギラ、「私のせい?」と悲しい目。怒りの突撃!
しかしレッドキング、ペギラに接触してはまずいと知ったため、大岩を持ち上げて投げつける!
胸板に直撃!
ぴきゃああああ!!!
ペギラ悲鳴!戦いの経験がないので非常に打たれ弱いペギラ、チャンドラーの隣に倒れる。
チャンドラーを見つめるペギラ。
息も絶え絶えのチャンドラー。
迫り来るレッドキング。
●ガンブースター・コックピット
ジョージ 「こりゃさすがにヤバイだろ!」
トリガーを引く!
●砂浜
ガンブースターの多数の砲門が火を噴く!
レッドキング、足止めされてイラつく。岩を持ち上げて手当たり次第に投げ飛ばす。
ガンブースターも危なくて飛んでいられない。
●ガンブースター・コックピット
ジョージ 「滅茶苦茶しやがる!アミーゴ、一旦着地するぜ」
●砂浜
降下していくガンブースター。
レッドキング、チャンドラーとペギラに止めを刺すべく更に迫る!
ペギラ、必死に立ち上がる。チャンドラーの前に、かばうように立ちはだかる。
チャンドラーも、女を楯にできるような男ではない。
起き上がろうとするが、右の翼が痛くて悶絶。
ペギラ、細い吐息のような冷凍光線を腫れ上がった右翼に吐きかける。
一瞬、ぎょっとしたチャンドラーだったが、
あれ?
痛くない!?
痛くないぞ!!
右腕を振って、痛みが消えたことを確認し、勇躍立ち上がる!
足元で、
変身しかけて動きを止めているミライ。
リュウ 「すげぇ。地球最強のコールドスプレーだな」
レッドキングが岩を投げつけ、または蹴りつける。
ペギラを下げて、チャンドラーがレッドキングの前に立つ。
チャンドラー、ペギラをかばって岩とはじき返す。
頭に来たレッドキング、これまでで最大の大岩を持ち上げる!
さすがに腰が引けるチャンドラーとペギラ。
チャンドラー、ペギラ、ピンチ!
と、そこに。
上空、遥か彼方にきらり、と光るものが。
それがだんだん大きくなってくる。
ガンウィンガーとガンローダー!
しかもマニューバモードに入っている!
●ガンウィンガー・コックピット
マリナ 「ペギラの恋路を邪魔する奴はぁ!」
トリガーを引く!
●多々良島上空
ガンウィンガー、ありったけのスペシウム弾頭弾を放つ!
レッドキングが持ち上げた大岩は粉々に粉砕される。
●ガンローダー・コックピット
コノミ 「ブリンガーファンで飛んでっちゃえ!」
トリガーを引く!
●多々良島上空
ガンローダー、ブリンガーファンを起動!
巻き上がった竜巻が、レッドキングを巻き込む!
ぴきゃああああああああああああ!!!
情けない声を上げながら、竜巻に巻き上げられ多々良島の遥か遠くに吹き飛ばされていくレッドキング。
……
あまりにあっけない幕切れに、きょとんと見詰め合っているペギラとチャンドラー。
●多々良島・地上
同じく、目が点になっているミライ、リュウ、ジョージ。
目が点のまま、メモリーディスプレイに話しかける。
通信の先は、同じく目が点になっているサコミズ隊長。
リュウ 「隊長、メテオール解禁しちゃったんすか」
サコミズ 「(通信)……成り行き上、そうなった」
ジョージ 「コノミ、パイロット登録してもいいんじゃないですか」
サコミズ 「(通信)前向きに検討しよう」
ミライ、すっと一歩前に出る。
リュウ 「おい、どうする気だ」
ミライ 「考えがあります、帰りは乗せていってくださいね」
言うや、メビウスブレスを宙に掲げるミライ。
●バンクシーン
「メビウス!」
の叫びとともに出現するメビウス。
●多々良島
メビウスの登場を、これまたきょとんとして見つめているペギラとチャンドラー。
二頭とも、ウルトラマンを見たことが無いので状況がつかめていない。
ここで、チャンドラー、疲労のためぐらりとふらつく。
肩を貸すメビウス。ペギラにうなずいてみせると、
メビウス 「シュワ!」
チャンドラーともども、南に向かって飛び立つ!
ペギラも急いで離陸。
(カットイン、ガンウィンガー・コックピット
マリナ 「私たちも行くわよ!遅れるな、熱血バカ!」)
●地上
リュウ「何だっつーんだよ!」
急いでガンブースターを発進させるリュウとジョージ。
(CGによるバンクシーン)
3機合体してガンフェニックスストライカーとなったGUYS戦闘機、全速力でメビウスと怪獣カップルを追う。
●上空
痛めた羽を広げて、メビウスとともに飛ぼうと努力しているチャンドラー。気遣わしげに寄り添って飛ぶペギラ。
眼下の青い海が徐々に変化して、白い氷山が見えてくる。
降下していくメビウスと怪獣達。
●南極
白銀世界に降り立つメビウスとチャンドラー。一瞬遅れてペギラも着陸。
さすがに長距離を猛スピードで飛んできたメビウス、カラータイマーの点滅も早く、息も絶え絶え。
ペギラも本来の航続距離を越えて飛行したので、肩で息をしている。
メテオール全開で追いついてきたGUYSのメンバー、これも時間切れでノーマルモードに戻る。
●ガンブースター・コックピット
リュウ 「ミライの奴、どういうつもりだ」
ジョージ 「確かにペギラは南極に向かってたが、チャンドラーには厳しい環境だぞ、は、は、はっくしょいあっ!」
●南極
メビウス、周囲をきょろきょろと見回す。
ここだ!
と目星を付け、メビューム・シュートの構えに入る!
岩肌に光線をぶち込む。
……
一瞬の間のあと、そこから猛然と湯気が沸き立ち、続いて熱湯が噴き出す。
熱湯は雪原を溶かし、白銀の世界に湯船を作る。
●マルチ画面・ガンローダーとガンウィンガーのコックピット
マリナ 「これってもしかして温泉!?」
コノミ 「さすがミライ君!南極にも火山があること知ってたんだ!」
マリナ 「泉質は?」
コノミ 「ナトリウム塩化物泉です!」
マリナ 「効能は!?」
コノミ 「打ち身、切り傷、捻挫などによろしいようです!」
マリナ 「ばっちりじゃない、ミライ君!」
マルチに割り込んでくる、ガンブースターのコックピット。
リュウ 「それにこれだけ熱源があれば、チャンドラーも凍えないし」
ジョージ 「連中の愛の巣ってわけだ!」
●南極
嬉しそうに噴出する湯気を浴びているチャンドラー。
湯に浸かってみる。
心地良さそう。
それを見てペギラも嬉しそう。
うんうん、と頷いて飛び去るメビウス。
メビウス 「シェアッ!」
途中で姿がかき消すように消え、同じく飛び去っていくガンフェニックスストライカーに光が吸収されていく。
声だけが聞こえてくる。
リュウ 「よくやったな、ミライ」
コノミ 「すごい、ナイスアイデア!」
ミライ 「はいっ!」
ジョージ 「てかテッペイはまだ幽体離脱してんのか?」
マリナ 「……忘れてた」
一旦暗転。
テッペイの声「ぶえっくしょい!!」
●再び南極
とめどなくあふれ出す温泉。川のように流れて、海に流れ込んでは凍り付いていくが、チャンドラーが漬かっている付近はもうもうと湯気が立ち込めており、寒さに弱いチャンドラーにも快適。
ペギラ、温泉に近づいてくる。
照れたように小首をかしげる。
チャンドラー、「おぉ、入れ入れ」とばかりに翼をはためかせる。
嬉しそうに、そぉっと近づいてくるペギラ。
足が温泉に漬かる。
……
途端に温泉がそこから凍り始める!
……
あっ!
あんぐりと口をあけ呆然の二頭……
フェードアウト、暗転……
声だけ、
「ぎゃおえっくしょんっ!!!」
おしまい。
メビナ……
「Wait a minute!」
●あ、ごめんなさい、終わる前にもう一回多々良島
夜。
断崖の上。
月明かりに浮かんでくる二つの人影。
バナナを頬張っている。
トミィ 「みんな俺たちのコト、忘れてるネ!」
ショウ 「トミィ、ねぇ帰ろうよー」
カメラが少し引くと、二人の隣に座っている小さな影。
「ぴぃ、ぴぃぴぃ……」
そう、友好珍獣ピグモンである。
ショウ 「怪獣島オールスターズってふれこみだったけど……ピグモン、お前も忘れられてたんだね」
ピグモン 「きゅーん」
二人と一頭で肩を並べて座る。ショウとトミィ、食べ終わったバナナの皮を捨てる。
ピグモンが二人に、更にバナナを振舞う。
トミィ 「Oh, thank you!」
ショウ 「神様がいるって信じたくなるよね」
三つの影が、もしゃもしゃとバナナをほおばる。
ショウ 「それにしても、夜は冷え込むんだね」
画面、徐々に暗転。
トミィ 「何でおいていくかなぁ、GUYS JAPAN……」
完全に暗転。
「はっくしょいっ!!!」
今度こそおしまい。
■次回予告■
女 性 「私、もう耐えられないっ!」
テッペイ 「え?彼氏の家を出ちゃったんですか?」
男 性 「久里虫太郎〔くりむしたろう〕?」
ミライ 「気をつけてくださいっ!コイツはヤプールです!」
マリナ 「なに、あれ……」
テッペイ 「本当に……本当に夢想が現実のものとなった……」
想見の予言書
ブースカ 「シオシオのパァ〜」
ご期待下さい。