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(CM明け)

●多々良島
密林の木々を縫うように、GUYSオーシャンの両隊員がペギラをめざし道なき道を歩いていく。
足場が悪く、しょっちゅうつまずきながら歩く二人。
今、また日本人の方が木の根に足を取られて転ぶ。
日本人  「痛いっ!ねぇ、もう帰ろうよー。レーダーで見てればいいんでしょー」
金 髪  「うるサイ!静かに歩くヨ!じゃないと、ここにはあんなのがうようよいるんだから!」
金髪が指差す先、真っ黒な岩肌のようなものが見える。見ていると、その「岩肌」が身震いを!
日本人  「ひゃ!」
金 髪  「地底怪獣MAGLER。まだ寝てるポイけど、起こして暴れてもらってもイイなら、騒ぎなよ」
日本人  「!……」
口を両手でふさぐ日本人。


……


まだまだ歩く二人。完全にアゴが上がっている日本人。
どこからか、しゅるしゅるという不気味な音が聞こえている。

先を行く金髪の後ろからついてくる日本人。
突然、恐怖の表情で崩れ落ちる日本人!倒れる寸前に必死に手を伸ばし、金髪の肩を叩く。
金 髪  「ショウ、今度はどうしたネ。(振り向かない)……(しばらく歩き続ける。カメラは金髪の背後に)……何も言わなきゃ解らないじゃ……(ここで振り向く。驚く!)ショウ!」
カメラはやや引き気味で。

日本人(ショウ)、吸血植物スフランに足を取られてうつぶせに転がっている。ずるずると引きずられ、とうとう逆さづりに!
ショウ  「ん〜ん〜!!!(口をふさいでいる)」
金 髪  「こういうときは言わなきゃ解らないでショ!」
金髪、バックパックを「よいしょ」とおろすと、使い古された大型銃を取り出す。
金 髪  「40年前から、怪獣島に行くには必需品ネ。スパイダーショット発射(ファイヤー)!」
スパイダーのメモリは「火炎放射」にあわせられている。炎が噴出し、ショウの足に絡みつくスフランを焼く。スフラン、抵抗するように身悶える(?)が、遂に焼ききられてショウを離す。落下!どしんっ!
ショウ  「あいっ……(口をふさぐ)」
金 髪  「もうええって!」
ショウ  「もうちょっと優しく下ろしてもらえないかなぁ(後頭部をさする)」
金 髪  「贅沢言わないノ!」
ショウ  「!!!(口をふさぐ)」
金 髪  「もういいって言ってるでショ!」
ショウ  「(それじゃ、とばかりに)わ――怪獣だ――!
金髪の背後に黒い影……恐る恐る見上げる金髪……
「ぎぇああああおおおおおううう!!!」
密林の木々の上からどくろ怪獣レッドキングの顔がこちらを見下ろしている!大咆哮!
ショウ  「逃げろ――」
金 髪  「間違ってル、ショウってば全部間違ってル!!」
追ってくるレッドキングから必死で逃げる両隊員。

ワイプ。

●朝焼けの光の中に建つ影は、フェニックスネスト

●作戦室
ぴ〜、ぴ〜、ぴ〜
通信音が響く。

全隊員が集まってくる。
コノミ  「GUYSオーシャン調査チームからの提示連絡です。ペギラの多々良島での現状報告かと思われます」
どれどれ、と集まってくる隊員たち。
コノミ  「モニタに出します」
ここでカメラ切り替わる。
カメラ、モニタ主観。モニタを覗き込む隊員たち、テレビを見ているこちら側からすると、隊員たちがじっとこちらを見つめているように見える。
ジョージ 「ほう、これが多々良島か」
テッペイ 「天気は快晴。亜熱帯ですからね、気温は……あれ、どんどん下がってる。1時間前が20度だったのに、現在15度です」
ミライ  「ペギラのせいなんですね」
マリナ  「恐らくね。冷凍光線を吐くんでしょ。ほら、亜熱帯の島なのに白く凍り付いているところがあるわ」
リュウ  「それにしても、だな、どうして、」
ここでもう一度カメラが切り替わる。
カメラは隊員たちの背後から。ここで初めて、視聴者にモニタ画面が見える。
リュウ  「こんなに遠いんだ、えぇ!?」
通信画面は確かに多々良島の朝の風景を捉えているが、肝心のペギラは、とぉーーーーーーーーーーーーーーーーい彼方にぽつんと見えているだけ。
その周囲が白くなっているのは、どうやら凍っているぽいけどこの画面では定かじゃない。

しかも何だか画面が揺れている。
リュウ  「おい、調査隊に伝えろ。もっと近づかなきゃ報告にならないじゃねぇかってな!」

●多々良島
揺れる画面(地面)!
岩肌に張り付く金髪とショウ!
ショウ  「……なんて言ってるけど」
金 髪  「シャラップ!この状態でどうやって近づくヨ!無理無理無理無理!」

●多々良島・遠景
画面、ぎゅううううんと下がると、断崖絶壁の途中までよじ登って岩壁に張り付いている二人。
断崖の下にはレッドキング!這い登ってこようとしているが、数歩上ると滑り落ち、鋭い爪あとを残してがけ崩れを起こしつつ落下する。そのたびに地面が、画面が、金髪とショウが揺れる!
レッドキング、咆哮!

●多々良島・絶壁
ショウ、揺れに耐えかねて足を滑らせる!
ショウ  「うわわっ」
金 髪  「ショウ!」
金髪の手助けで、辛うじて岩の割れ目まで這い上がるショウ。二人とも小休止。
ショウ  「助かった、トミィありがとう」
金髪(トミィ)「Don’t mind. でもこれからどーするネ?」
すると、眼下から別の種類の咆哮が聞こえてくる。恐る恐る、顔を覗かせてみる二人。

●多々良島・遠景
レッドキングが、その『別の咆哮』を聞きとがめて振り返る。
すると、宿命のライバル・有翼怪獣チャンドラーが登場!岩塊を蹴飛ばしながら、レッドキングに襲いかかる。
レッドキングも、小さな獲物よりもチャンドラーに興味を示し、立ち向かっていく。

ぎぇあおーーーーー!
ぶぉえあおーーーー!

つかむ!投げる!踏ん張る!噛み付く!原始の本能そのままの闘争が始まる!

●岩の割れ目
ショウ、メモリーディスプレイ型の通信機で、レッドキング対チャンドラーの一戦を撮影している。
トミィ  「おっとチャンドラー、レッドキングの右肩に噛み付きマシタ。痛ソーなレッドキング。意地で角をつかみ返して!そのまま思いっきりブレーンバスター!レッドキングのここいちばんの力技に意識モーローですチャンドラー」
ショウ  「……実況はいらないから」
トミィ  「No!きっと喜んでる人いるっテ! ……おぉっとチャンドラー負けていられない、立ち上がって……」

●フェニックスネスト・作戦室
トミィの実況が聞こえている(これ以降は、はっきり聞こえなくてもいい)
トミィ(通信音声)「レッドキングにショルダータックル!レッドキングふらついてるぞ!……」
テッペイ 「頑張れチャンドラー!今だ、キックを使え!目だ!」
マリナ  「な〜に燃えてんだか」
コノミ  「テッペイさん、チャンドラー贔屓なのね(苦笑)」
リュウ  「っつーかおい!ペギラはどうしたんだペギラは!!(とマイクに怒鳴る)」

●多々良島
トミィ  「ちぇ、せっかく乗ってきたのに」
ショウ  「仕事、仕事!えっとペギラはどこ……ってあれ?さっきのところにいない」
トミィ  「What!?」
ショウ、通信機を構えて先ほどペギラがいた方面を写すが、そこには白く凍結した岩が残っているだけでペギラ自身の姿はない。
ショウ  「大変!見逃しちゃった!怒られる〜!」
トミィ  「探すネ!きっと足跡も全部凍ってルヨ」
ショウ  「そ、そうだね、サーモグラフィモード、作動!」
島中をくまなく撮影するショウ。海岸から離れたところに、青(低温)の反応が見られる。センサーで追い続けるショウ。

●遠景
羽ばたいて大風を起こすチャンドラー。完全な飛行は出来ていないが、多少空中に浮くことは出来るようである。
足の爪でレッドキングの顔を引っかく(本当にキック使ってるし)。レッドキング怒るが、だんだん鬱陶しくなったのか、退散していく。
着地するチャンドラー。肩で息をしつつも、勝利の雄叫びを挙げる。
ふと振り返る。身震い、どうも寒い様子。
ぎゃおぇあっくしょん!
無理やりひらがな表記するとこんな感じのくしゃみ。
そこに、熱帯雨林の樹木を掻き分けて、

●岩の割れ目
ショウ  「わ!ペギラだ!」
トミィ  「こんな近くまで来てたのネ!実況が忙しくて気づかなかった」
ショウ  「余計なことしてるから!」
トミィ  「ショウだって結構乗って撮ってたネ!」
慌ててみても逃げようがない二人。
……
     「びぇっくしょいっ!
     「あーちゅぅ!
急激に冷え込んできたので、思わずくしゃみを連発して身震いする二人。
ショウ  「しまった、冬物の制服、持って来てない」
トミィ  「いつも思うけど、ここぞって時にYouってのんきだねぇ」

●多々良島
チャンドラー、見慣れない怪獣に、すわ新たな敵かと身構える。
しかし、ペギラ、ボーっとチャンドラーを見つめているだけで動かない。

……

動かない。
小首をかしげる。
「きゅう〜ん……」
甘えるような声を出す!
羽根をぱたぱた、優しく羽ばたかせて迫るペギラ。

●岩陰
トミィ  「これ、どういうコト?」
ショウ  「まさか、とは思うけど」

●フェニックスネスト・作戦室
     「えええええ?恋!
一同、驚きの声。の、後、一斉に笑い始める。
コノミ  「(真っ赤になって懸命に主張)だって、だって、ペギラのあの顔!恋する乙女の顔だもん!」
リュウ  「あの顔のどこが恋だよ!色気より食い気って感じだぜ」
モニタに大写しになっているペギラの顔。確かに牙が生えていて凶暴そう、リュウが言うことのほうが正しそうだけど、
マリナ  「解るわ、コノミちゃん」
リュウ  「何をぉ!?」
マリナ  「鈍感な男どもには解りっこないわ。見て、チャンドラーを見つめるあの瞳!あの優しい目は絶対、恋よ!」
モニタに大写しになっているペギラの瞳……う〜ん、優しいかな?
マリナ  「ほら、見てて!」

●多々良島
歩いてるチャンドラー。
付いてくるペギラ。心なし、足取りが軽い。
振り返るチャンドラー。眉根を寄せる。迷惑そう。
かわいらしく小首をかしげるペギラ。求愛ダンスと思しき、羽根をばたつかせるアクション。

ひゅうううう……

絶対零度に近い冷気がチャンドラーを襲う!
ぎゃえっくしょん!
チャンドラー、大きなくしゃみをして、足を速めて立ち去っていく。
寂しそうにうなだれるペギラ。とぼとぼと海辺に歩いていく。
その足跡は、真っ白に凍結している。

時間経過を表すワイプ。

●多々良島・海辺
早朝、ペギラが寝ていた辺り。磯に荒波が打ち寄せている。
ペギラがやってくる。遠くを見つめると、何かがぱしゃっと跳ねる。
ペギラ、見つめる。
どうやら、大型の、日本の築地に水揚げされたら数百万円はくだらないであろう立派なマグロが、群れを成している。
ペギラ、目を輝かせて飛び立つ!

ざぶん!

ペギラが飛び込み、一瞬で浮き上がってくる。
(当然、その一体の海面は凍りつく)
ペギラの口には、巨大マグロがくわえられている。

●多々良島・密林
あ〜寒かった、とばかりに胸を両翼で抱いてこすっているチャンドラー。
亜熱帯育ちのチャンドラーにとって、冷凍光線を吐いていなくてもペギラの超低温は耐え難い。
そこに、再びペギラが飛来。
ぎょっとするチャンドラー。
ペギラ、取ったばかりの新鮮なマグロを、チャンドラーの前に差し出す。
地面にそっと置かれるマグロ。
興味を示すチャンドラー。
「どうぞ、召し上がれ」とばかりに翼を差し出し、しおらしく数歩下がって待つペギラ。
チャンドラー、近づいてみる。
しゃがんでみる。
噛み付いてみる。

……

かっちかちに凍ってるから歯が立たない!
食いついたのはいいが、

ぼきっ

大事な前歯が一本、折れてしまう!
ぎゃああああおおおお!!!
怒りの咆哮を上げるチャンドラー!
ペギラ、「そんなはずじゃなかったのに」と悲しい顔を見せ、泣く泣く飛び去る。

●フェニックスネスト、作戦室
以上の様子は、細大漏らさずショウとトミィによってGUYS JAPANに知らされており、最後の「飛び去るペギラ」の映像がそのままモニタ映像となって映し出されている。

大爆笑の男子隊員たち!
リュウ  「だから無理だって!」
ジョージ 「歯、折ってやんの、歯!」
コノミ・マリナ・ミサキ「黙らっしゃい!!!!!!
瞬時に静まり返るフェニックスネスト。
(一人、喧騒に参加していないサコミズ隊長の、コーヒーをすする音が聞こえるくらい)
マリナ  「あんたたち、それで平気なの?」
コノミ  「ペギラがかわいそうだと思わないんですか!?」
リュウ  「かわいそうったって、元から結ばれるはずのない二匹じゃねぇかよ」
マリナ  「障害が大きいほど燃え上がるのが恋ってものじゃないの!ロマンのかけらもないのね!」
ジョージ 「ロマンったってなぁ、元々違う種類の怪獣じゃないか」
ミサキ  「テッペイさん、ペギラとチャンドラーは同種族であるという研究結果がありましたわね?」
テッペイ 「え?あ、ああ、そういう仮説がドキュメントSSSPのアーカイブに、でも実証されては」
ミサキ  「実証してください、今すぐ!
テッペイ 「ひょえ!じ、G.I.G.」
コノミ  「あの、もし同種族だとしたら」
ミサキ  「そうです、あの恋は成就する可能性があると言うことです」
マリナ  「極地と熱帯を結ぶ、地球を股にかけた恋!素敵だわ、ロマンチック!」
こそこそと、
ジョージ 「アミーゴ、まさかミサキ女史まで」
リュウ  「ああ、夢見る女の子だったとは意外だったな」
ミライ  「え?だってミサキさんは男じゃないですよ?」
リュウ  「性別のこと言ってるんじゃなくてだな」

ミサキ  「そこ!何をこそこそしゃべってるんですか!勤務中ですよ!」
3 人  「は、はい!すみません!ってキャラクターちがうぞ!?」

テッペイ 「で、出ました。遺伝子の一致具合からすると、ペギラとチャンドラーは先祖を同じくしているようですが、完全な同種族とは言い切れません。例えばライオンとヒョウ、トラくらいの関係ですね」
コノミ  「ってことは」
テッペイ 「例えばライオンとヒョウの間に『レオポン』、ライオンとトラの間に『ライガー』という混血が生まれることがごく稀にありますが、交配が成功する確率は極めて低く」
マリナ  「交配?
テッペイ 「そう、だから交尾したとしてもペギラの想いが達せられる可能性は低い……」
ミサキ  「交尾……
テッペイ 「それにレオポンもライガーも、子供を産めない、一代限りの混血でして、もしチャンドラーとペギラの混血、まぁチャンギラとでもいいましょうか、それが生まれても、生殖機能はもてないわけで」
コノミ  「生殖……
不思議と静まり返る作戦室……
テッペイ 「あ、あの、何か」
……

テッペイ、コノミの冷たい視線に気づく。
テッペイ 「あの、コノミちゃん?」
コノミ  「……テッペイさんのスケベ

テッペイ 「!!!!!!」



哀れ、今回初めてペギラの手によらず凍りついた物体、テッペイ。
放心状態で、口からエクトプラズムを吐いている状態のテッペイをよそに、
マリナ  「ペギラの恋は、プラトニックなの!生殖とか、その、こ、こ、交尾、とかじゃなくてっ!」
リュウ  「ありゃ獣だぜ?プラトニックなんかありえねぇって」
コノミ  「そんなことないもんっ!ペギラ、一所懸命だもん!」
ジョージ 「それは子孫を残したいからであって、」
ミサキ  「屁理屈並べてないで、ペギラ支援の為に出撃!GUYS、Sally GO!

●宙を飛ぶガンブースター
に、かぶせて
リュウ、ジョージ、ミライの声「G.I.G!
なんとミライに至ってはウルトラマンメビウスに変身して追随している。

(CM)

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