●前線本部
神妙な面持ちでディスプレイを覗き込むサコミズ、テッペイ、コノミ。
テッペイ 「作戦開始まで、あと10秒です」
カウントダウンを始めるテッペイ。
テッペイ 「9、8、7……」
●ガンウィンガーコクピット
すでに起動し、あとは離陸を待つばかり。
リュウ、操縦桿を握ったり離したりしている。
テッペイ(声)「6」
●銀色の城のふもと
トライガーショットを、銃口を下ろしつつもしっかりと握り締めて構えているミライ。
テッペイ(声)「5」
ミライと同じようにトライガーショットを構えたマリナ。さすがに少し緊張しているよう。
テッペイ(声)「4」
●ガンローダーコクピット
計器を見つめているジョージ。作戦室で見られたあの不敵な笑みはなく、真剣そのもの。
テッペイ(声)「3」
●前線本部
コノミ、手を握り締め、固唾を呑んでディスプレイ(サーモグラフで銀色の城が映し出されている)を見守っている。
テッペイ(声)「2」
テッペイ、まばたきもせずにディスプレイに見入っている。
テッペイ 「1」
サコミズ、心持ち険しい表情で、遠くに見える銀色の城をにらんでいる。
テッペイ(声)「ゼロ!」
サコミズ 「作戦開始!」
コノミ 「投光機、消灯します!」
コンソールを操作するコノミ。
●銀色の城のふもと
ぱっと真っ暗になる。
ミライ、マリナ、無言。
無言。
無言。
マリナ 「聞こえる……動き始めた!」
●前線本部
コノミ 「(ディスプレイを見ながら)反応に変化あり、テロチルス、活動を開始しました!」
テッペイ 「(銀色の城を見ながら)来るぞ、来るぞ、来るぞ……」
遠くで揺れる銀色の城。やがて、月明かりの中に、テロチルスのシルエットが浮かび上がる。
甲高い啼き声が夜の街に響く。
サコミズ 「メテオール、解禁!」
●ガンウィンガー
すでに離陸している。
リュウ 「パーミッショントゥシフト、マニューバ!」
ガンウィンガーの翼が開き、金色の光を放つ。
そのまま銀色の城の上空まで飛ぶ。
リュウ 「ファンタムアビエーション、スタート!」
残像を残しながらテロチルスを挑発するように周囲を飛び回り、離れるガンウィンガー。
気を惹かれて追いかけて飛び立つテロチルス。
●銀色の城内部
内側は意外と元のビルの原型をとどめているが、腹から上層部にかけて、内側がすり鉢上に大きく陥没している。
トライガーショットを構え先行するマリナ、メモリーディスプレイの表示を頼りにナビゲートするミライ。
●前線本部
テッペイ 「先ほどのスキャンで検出された小熱源は7つです」
マリナ(声)「7つ?行方不明者と、避難所で飲み込まれた人を合わせると」
テッペイ 「10人です。不足分の3人は……多分、残念ながら」
ミライ(声)「でもこっちのバイオセンサーには僕ら以外に8つ反応がありますよ?」
テッペイ 「(声が裏返って)ええっ?」
●銀色の城内部
マリナ、ミライのメモリーディスプレイを覗き込んでいる。
マリナ 「ホントだ……これって!」
コノミ(声)「ひょっとしたら、その人弱ってて、外側からのスキャンじゃキャッチできなかったとか!」
テッペイ(声)「いや、ひょっとしたらテロチルスの卵かも」
ミライ 「全部の反応をチェックしてみましょう。一番近いのはこっち……ここです!」
そこには、テロチルスの分泌物によって繭のように包まれた人の姿が。
協力して分泌物を引っぺがし、救助するミライ、マリナ。
●銀色の城内部、別の階
薄暗いひとつの部屋に入ってくるユウヤ。マッチを一本すってあたりを照らしてみると、中には3つの繭。
ユウヤ、その中のひとつを恐々と引っぺがしてみる。中から現れたのは、ユウヤの母の顔!
ユウヤ 「お母さん!」
必死で体の部分を覆っている繭を引っぺがし始めるユウヤ。うっかり引っぺがした繭の上にマッチを落としてしまう。少しずつ発生する毒ガス。
3人をあらかた助け終わったところで毒ガスに気がつくユウヤ。
ユウヤ 「うわ!何だ?!」
ゲホゲホと咳き込み始め、そのまま倒れこんでしまう。
●都市上空
遠くに離れた街の明かりを目指そうとするテロチルス。
その前に現れては消えるガンウィンガー。
リュウ 「てめぇの相手はこっちだ!」
テロチルス、怒りに震える目でガンウィンガーを睨む。
慣性を無視したかのようなジグザグな飛行を見せつつ、作戦ポイントに徐々に近づくガンウィンガー。
テロチルス、急加速してガンウィンガーに突進。
急な方向転換や残像で、テロチルスを華麗に翻弄するガンウィンガー。
●銀色の城内部
ミライとマリナの行く手に1枚のドア。ミライのメモリーディスプレイが、その奥に反応を示している。
ミライ 「いよいよ、"8人目"ですね」
マリナ 「もしくは"2匹目"ね」
ドアの両サイドに張り付く2人。アイコンタクトでタイミングを取り、ミライがドアを大きく開け、マリナがトライガーショットを構え、突入する。
中から噴出す毒ガス!
ミライ 「うわっ!」
身を低くしてガスをよける2人。部屋の中央で、燃える繭を確認し、口を押さえながら這っていき、火を消すミライ。中には3つの繭。すでに破かれている。3人の大人。倒れている。そして、一人の少年……ユウヤ。
マリナ 「(ユウヤを抱き上げて揺さぶる)大丈夫?しっかりして!(以前会ったことがあることに気づき)君……避難所の!」
ユウヤ 「(目覚めて)あ……助けに来てくれたんだね!お父さんとお母さんが……みんなが、目を覚まさないんだ」
ミライ 「ちょっと、診せてくれるかな」
3人の大人の様子を簡単に調べるミライ。
ミライ 「生きてます……でも、だいぶ弱ってる!早く運ばないと!」
うなづくマリナ。それぞれ大人を2人ずつ背負う。
マリナ 「(ユウヤに)すぐ戻ってくるから、ここで君のママのこと、守っててくれる?」
ユウヤ 「うん!怪獣が戻ってきたら、これで追っ払うよ!」
ユウヤ、マリナにリュックサックを見せる。中には爆竹や花火がぎっしり詰まっている。
マリナ 「頼もしいわね。でも、申し訳ないけど、それ使うと、かえって毒ガスが発生しちゃうのよ。怪獣が来たら、逃げるの。いい?(ミライのほうを振り返り)行きましょう。下で医療スタッフがスタンバってる」
うなづき、部屋を出て行くミライ。後に続くマリナ。
●都市上空
鼻先で飛び回るガンウィンガーを睨みつけるテロチルス。時折、思い出したようにくちばしを突き出すが、ことごとく回避される。
●ガンウィンガーコクピット
リュウ 「へッ、捕まえられるもんなら捕まえて……」
ガクン!と大きな衝撃!
リュウ 「何ィ!」
●都市上空
テロチルスのくちばしに、ガンウィンガーの翼が引き裂かれている。
くわえられているわけではなく、そのまま落下するガンウィンガー!
●前線本部
テッペイ 「ファンタムアビエーションを見切ったのか?!」
コノミ 「リュウさん!」
サコミズ 「リュウ!脱出しろ!」
リュウ(声)「くそっ、動け!動け!」
サコミズ 「リュウ!」
●銀の城・内部
メモリーディスプレイをマリナが持ち、それをユウヤの母を担いだミライが覗き込んでいる。
身長の低いユウヤはそれを見上げている。
ミライ 「リュウさん!」
ミライ、メモリーディスプレイに向かって叫ぶが、何もできないでいる。
マリナ 「ミライ君、あたしがその人運ぶから、ミライ君はリュウを」
ミライ 「マリナさん……ありがとうございます!」
ミライ、マリナの背にユウヤの母を託し、駆け出していく。
ユウヤ 「リュウって人、大丈夫なの?」
マリナ 「ええ、ミライ君が行ったなら、絶対大丈夫」
マリナ、信頼の情と自信に満ちた笑みを浮かべる。
●銀の城・上層階
陥没部の断面はつぶれているのではなく、すり鉢上の空間に対して開放面が開いている。
その空間に向けて身を投じるミライ。
ミライ 「メビウス!」
巨大化しながら変身の勢いで星空へ飛び出すウルトラマンメビウス。
●銀の城・内部窓際
窓に設置した脱出用シューターに、マリナとユウヤがユウヤの母親を乗せようとしている。と、窓の外に大きな光が見える。それに気がつき、顔を上げ、窓の外を見る二人。
ユウヤ 「(目を輝かせて)がんばれー!ウルトラマンメビウスー!」
窓の外に、メビウスが飛んでいくのが見える。
●ガンウィンガーコクピット
黒煙が、コクピット内にも充満している。
絶望的な状況にもかかわらず、あきらめずに機器をいじり、操縦桿を引き、パネルを殴るリュウ。
リュウ 「ちっきしょう、ここで落ちてたまるかってんだ!」
と、窓の外にまぶしい光。目をつぶり、そして見開くリュウ。
窓の外には、メビウスの顔が!
メビウス(テレパシー)「リュウさん、交代です!あなたの役目は、僕が引き受けます!」
リュウ 「よっし、任せたぞミライ!」
●夜の街
ファイティングポーズをとるメビウス。
上空から見下ろすテロチルス。
じりじりと緊張感が漂う。
急降下で襲いかかるテロチルス!首を抱え込もうとするメビウス、首をつかむことは出来ても、勢いに負けて何も出来ず、たったままずるずると押されて滑っていく。
メビウス、ちらりと背後を見ると、そこは200mはあろうかという超高層ビル!テロチルス、首を上に向けて上昇を始めると、ビルの中腹にメビウスを叩きつける!ビルにめり込むメビウス。
メビウス 「ううっ……!」
ビルの鉄筋などが体に絡み付いて、なかなか脱出できない。
テロチルス、空中で一回転すると、ビルに足を引っ掛け、キツツキのように留まる。
メビウス、はっとしたように首を竦ませると、体を右によじる。一瞬遅れて、メビウスの顔のあったところにつき立てられるテロチルスのくちばし。
テロチルス、くちばしを引き抜くと再度メビウスの顔を狙う。
メビウス、こんどは左に体をよじって避けると、右手でテロチルスの首をつかみ、左手を引き絞るとエネルギーを貯め、ライトニングカウンター・ゼロを放つ!
小爆発!軽く吹っ飛ぶテロチルス、よろよろと立ち上がると、空へと飛び立つ。
メビウス、くず折れるようにビルから脱出する。カラータイマーが点滅を開始したのを確認して、天を睨む。
メビウス 「シュワッ!」
空へ逃げるテロチルス。追うメビウス。
●銀色の城・内部
ユウヤがシューターに乗ろうとしているが、戦況が気になって降りられないでいる。
マリナ 「ミライ君……」
ユウヤ 「ミライさん?」
マリナ 「あ、いや、ちゃんとリュウのこと助けられたかなって(焦り笑)」
リュウ(声)「おう、ちゃんと助けてもらったぜ!」
窓の外を見る2人。ガンスピーダーがホバーリングしている。中にはリュウ。
リュウ 「……って、なんでこんなとこに子供がいんだよ」
ユウヤ 「お父さんとお母さんを助けにきたんだ」
マリナ 「センサーでも見つけられなかった人を、この子が捜し当てたの」
リュウ 「すげぇな!お手柄だ!(マリナに)で、状況は?」
マリナ 「全員救出済。フロギストン爆雷も設置完了してる。あとはこの子を乗せて降りるだけね」
リュウ 「うっし。問題は(空中戦の広げられているほうを見て)本体だな。アイツ……どうにかして手伝ってやりたいけど」
ユウヤ 「おじさん!これ、なんかの役に立たないかな?(リュックの中身をリュウに見せる)」
リュウ 「誰がおじっ……(カッとなりかけるが抑えて)気持ちはありがたいけどな、そんな花火じゃ」
メビウス(声)「ァァァァァァッ!(苦悶)」
苦しむメビウスの声に、一同振り向く。
ユウヤ 「メビウスーっ!がんばって!」
リュウ 「くっそー、まるで歯が立たねぇじゃねぇか」
マリナ 「空であのスピードを制して戦おうってのが無茶なのよ!」
リュウ 「じゃあどうしたらいいんだよ!」
メビウスとテロチルスの戦いの音が聞こえる。明らかにメビウスの悲鳴が多く聞こえる。
ユウヤ 「メビウス……がんばってよ、負けちゃ嫌だよ。メビウスぅ……(半泣き)」
リュウ 「(そんなユウヤをしばし見つめて)なぁボク、それ、リュックごともらっていいか?」
ユウヤ 「そしたらメビウス負けない?」
リュウ 「ああ、こいつでメビウスを助けるんだ!」
キャノピーをあけ、ユウヤから投げられたリュックサックをキャッチするリュウ。
マリナ 「一体何しようっての?」
リュウ 「届けるんだよ!ミラ……メビウスに炎を!マリナ、お前その子と一緒に下降りて待ってろ!すぐ戻っから!」
マリナ 「ちょっ……リュウ!」
言うが早いか、ガンスピーダーで飛び去ってしまうリュウ。
●空
苦戦しているメビウス、メビュームスラッシュを放つが、テロチルス、ムーンサルトで回避し、その勢いのまま、メビウスの顔面を両脚で蹴りつける。
メビウス 「ヘアッ!」
メビウス、墜落しそうになるがこらえ、背後からテロチルスにとび蹴り。テロチルス、間一髪で回避すると、今度は翼でチョップを叩き込もうとする。メビウス、今度は受け止め、先ほどライトニングカウンター・ゼロで殴りつけたわき腹に、連続で膝蹴りを入れる。
苦痛にもだえるテロチルス、メビウスの顔にくちばしを振り下ろそうとする。メビウス、とっさに顔をかばい、つかんでいたテロチルスの翼から手を離してしまう。
その隙に逃げ出したテロチルス、メビウスに向かって白い分泌物を吐き出す。
メビウス 「ゥゥゥ……」
見る間に銀色の城同様、上半身が繭のように分泌物に包まれてしまうメビウス。必死にもがくが、振り切ることが出来ない。
テロチルス、ここぞとばかりにメビウスをいたぶる。メビウスもキックで応戦しようとするが、闇雲に暴れることしかできない。
●作戦ポイント
ガンローダーの中でジョージが歯噛みしながら戦況を見守っている。
リュウ(声)「ジョージぃぃぃ!」
窓の外を見ると、リュウがガンスピーダーから降りて走ってくる。手にはユウヤのリュックサック。
ジョージ 「リュウ、お前」
リュウ 「ミライのおかげで何ともないぜ!それより、アイツのこと助けてやろうぜ」
ジョージ 「しかしどうやって」
リュウ 「炎を届けるんだよ。俺達の……いや、俺達だけじゃない!アイツを信じる仲間の炎もだ!」
●ガンローダーの翼の上
リュウとジョージが並び立つ。ジョージの足元にはユウヤのリュックサック。
遠くに、テロチルスと、いまだ繭から逃れられないメビウスが見える。
リュウ 「なまってねぇだろうな、お前の必殺技」
ジョージ 「(不敵に笑い)まぁ見てな」
ジョージ、リュックサックを軽くリフティングすると、
ジョージ 「うおおおおおおおおお!」
流星シュートで蹴り飛ばす!メビウスとテロチルスのところまで届くリュックサック!
ジョージ 「リュウ、やれっ!」
トライガーショットのバレルを伸ばし、リュックサックを狙い撃ちするリュウ!
●空
リュウの放ったビームが、リュックサックに着弾!派手な音と光を放ちながら燃えてメビウスとテロチルスの間に割り込み、テロチルスの前ではじける。飛び散った花火が、テロチルスの顔の上や、メビウスの繭の上にも降り注ぐ。ちりちりと毒ガスを吐きながら燃えるメビウスの繭。
ギロリと振り向くテロチルス。その視点の先には……何もいない。が、突然テロチルスの後頭部に浴びせられるバリアブルパルサー!テロチルスの目前に颯爽と現れるガンローダー・マニューバモード!
●ガンローダーコクピット
ジョージ 「お前の相手は、ミライやリュウだけじゃないんだよ!(メビウスに)ミライ!踏ん張れよ!」
●空
ガンローダーの両翼のファンが高速で回転をはじめる。たちまち起こる大竜巻に巻き込まれるメビウス。しかし、テロチルスはすばやく回避してしまう。
●前線本部
コノミ 「ジョージさん!そこでブリンガーファンを使うのは無茶……」
テッペイ 「ああっ、違います!」
●空
メビウスを包む繭についた炎の勢いが上がり、毒ガスも吹き飛んでいる!ついには繭全体に燃え広がり、メビウスの上半身が燃えているようにも見える。
●前線本部
テッペイ 「ベンチレーション・ボルテクサーで毒ガスを吹き飛ばして……」
コノミ 「同時に空気を送り込んで炎を強めたんですね!」
●空
一瞬カッと閃光が走ったかと思うと、繭を爆発するように突き破り、その破片を飛び散らせながら姿を現す、メビウス・バーニングブレイブ!(飛び散る繭の破片のラインでワイプして変身)
振り向いたテロチルス、怯み、焦ったように突っ込んでいく。
メビウス、ひらりと宙返りして回避しつつ、テロチルスの首に延髄浴びせ蹴り!墜落しかけるが耐えるテロチルス、今度は距離をとり、勢いをつけて突進!
メビウス 「(拳を引き絞り)セアーッ!」
鋭く叫ぶテロチルス!両脚をそろえ、蹴りの構え!
クロスカウンター!ドンッ!っという音がして互いに100mほど吹っ飛ぶ!飛び散るテロチルスの羽毛!
疲弊した様子を見せるテロチルス、雲の中へと逃げ込む。メビウス、今度は雲を飛び越えると、リフレクト星人との戦いで会得したきりもみキックの要領で雲の中央に突っ込んでいく。
雲に、変化が現れる。だんだんとちぎれ、薄くなっていき、やがては完全に吹き飛んでしまう。その中から現れたのは……テロチルスの足をつかみ、高速で回転するメビウス!まるで空中に浮かぶ巨大な独楽!だんだんスピードが上がっていく。
その手前を横切って飛ぶガンローダー。
●ガンローダーコクピット
ジョージ 「ミライ!パスだッ!」
●上空
メビウス、頷くと、回転速度を上げる。
速度が最高潮に達した瞬間、手を離す!勢いよく落下するテロチルス!
●前線本部
墜落していくテロチルスが、遠くに見える。
サコミズ 「ジョージ!今だ!」
●ガンローダーコクピット
ジョージ(声)「ブリンガーファン、ターン・オン!」
竜巻がたちまち起こり、テロチルスを確実に捉える!
完全に感覚を失い、姿勢制御も出来ずに墜落していくテロチルス。落ちてくるその先には、銀色の城。
●銀色の城、近景
テント内では、救出された人たちが横たえられ、医療スタッフが手当てをしている。
テントに横付けされるガンスピーダー。リュウが降りてくる。
マリナ 「遅い!まったく、作戦勝手に変えちゃって」
リュウ 「メビウス助かったんだからいいじゃねぇか。それより、そろそろ俺達の出番だぜ」
トライガーショットを構えるリュウ、マリナ。
マリナ 「(狙いを定めて)タイミングを外したら、大変なんだからね!」
リュウ 「(狙いを定めて)そっちこそ、逃がすんじゃねえぞ!」
銀の城に真上から突っ込んでくるテロチルス。
リュウ 「いまだ!」
テロチルス落下とともに青いビームが放たれる。
堅牢な光の檻に閉じ込められる銀色の城。
●前線本部
サコミズ 「フロギストン爆雷、エクスプロージョン!」
●銀色の城、遠景
轟音とともに爆発炎上する銀色の城。
キャプチャーキューブに守られ、周囲へ爆風は及ばないが、その内部では激しい炎が渦を巻き、すべてを灼き尽くす!
銀色の城と運命を共にするテロチルス。
●前線本部
テッペイ 「勝ったー!」
コノミ 「キャー!」
喜びのあまりコノミに抱きつこうとして拒否され、突き飛ばされるテッペイ。
心配そうに見やりつつ、苦笑するサコミズ。
●銀色の城のふもと
ため息を吐きつつ、微笑を交わすリュウ、マリナ。
上空をクルーズモードに戻ったガンローダーが横切っていき、メビウスのほうへ。それを追いかけてパンする画面。
●空
メビウスの眼前を横切るガンローダー(ここまで前のシーンからワンカットで)。コクピットからジョージがメビウスにサムズアップをしてみせる。
メビウス、応えると、
メビウス 「シュワッチ!」
やや明るくなり始めた空へと帰っていく。
●後日、病院
ユウヤの父親(男2)と母親が、ベッドを並べている。その間にはユウヤ。
病室のドアが開く。入ってくるGUYS隊員達。病室の人たちに会釈する。
サコミズ 「いかがですか、お体の具合は」
ユウヤの父「先生の話では、あと1週間もすれば退院できるということでした」
ユウヤの母「例の毒ガスも、そんなに大量に吸ったわけではないので、後遺症とかも、残らないそうです。本当に、お世話になりました」
マリナ 「そんな!ユウヤ君のおかげですよ」
サコミズ 「(ユウヤに振り向き)そこで、ユウヤ君をCREW GUYS特別隊員に任命する」
ミライ 「ハイ、これを」
ミライ、ユウヤの胸にGUYS特別隊員章のバッジを飾る。
リュウ 「あと、これはオレとジョージ、ミライからだ。リュック、燃やしちゃってごめんな」
リュウがファイヤーエンブレムの描かれた、新しいリュックサックを手渡す。
ジョージ 「ガンフェニックスの、俺達の翼と同じ塗料で塗ってあるから丈夫だぞ。大事にしてくれよ、アミーゴ」
ユウヤ 「わあっ!ありがとう、ジョージさん!おじさん!」
ユウヤの父「こら!ユウヤ!」
リュウ 「人のことをおじさんおじさんって……ムッ!(変顔をしてみせる)」
大笑いする一同。
コノミ 「でもユウヤ君、今回は良かったけれど、あんまり無茶しちゃだめだよ」
マリナ 「そうそう。それで怪我でもしたら、そのときは君のパパやママを助けられないんだからね?」
ユウヤ 「ごめんなさい。でも……」
ユウヤの母「でも?」
ユウヤ 「お父さんがいなくなったとき、お母さんやジョージさんが、繰り返し、大丈夫だよ、大丈夫だよ、って言ってたから。それを信じてがんばったんだ」
テッペイ 「まぁ、子供のうちは、やんちゃなくらいがちょうどいいですよ」
サコミズ 「確かに無茶をしたね。でも、君のその勇気が、お父さんとお母さんを助けたんだ。その勇気は、これからも忘れないで欲しい」
ユウヤ 「GIG!」
サコミズ 「うん、いい返事だ」
以下、フェードアウトしつつ見せる。
和やかな雰囲気。主婦がウサギさんの形に剥いたリンゴを持って入室してきて、隊員たちに気付くと会釈する。会釈を返す隊員たち。手を伸ばしリンゴをほおばるユウヤ一家。薦められて隊員たちもお相伴に預かる。談笑。
終幕。
■次回予告■
男女の悲鳴「ひぃいっ?!」「ぎゃあああっ!!」
弁当屋の男「こんなでっかいのが!」
テレビ画面『ラゴンは海底原人と呼ばれ……』
男子高校生「こんなのがその辺を普通に歩いてんのかよ?!」
女子高校生「怖ぁ〜ぃ!」
男性の声 「ラゴンの知能は高いです」
女性の声 「本物の演奏をホールとかで聴いてみたいなぁ」
生徒たち 「(絶叫)撃つなーっ!!」
ラゴンの子
ミサキ女史「待って!」
コノミ 「やめてっ!!」
女子高校生「(悲鳴)だめーーっ!!」
ご期待下さい。