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●避難所前広場
巨大な鳥と対峙するメビウス。
メビウス 「シェア!」
先に仕掛けていく。こぶしを引き絞り、パンチ!怪鳥、ふわりと飛んで回避。空高く舞い上がる。
メビウス、逃すかとばかりにメビウスブレスに手をかざし、
メビウス 「セァーッ!」
メビュームシュートを発射!鳥の背中めがけて伸びていく必殺光線。
ジョージ 「とった!」
炸裂するメビュームシュート。しかし、鳥には効いていない!
怯むメビウス、大地を蹴って空へ。
鳥、雲の中に潜んでしまう。追いかけて、メビウスも雲の中へ。

●雲の中
鳥を見失い、四方を見回すメビウス。
と、急に繰り出されるくちばし。メビウスの体をかすり、火花を散らす。
体制を崩してよろめくメビウス。今度は背後から突き出されるくちばし。
メビウス 「ヘアアアアア!(悲鳴に近い叫び)」
メビウス、立ち止まって的にならないよう、雲の中を飛び回りはじめる。
と、轟音とともに雲が流れ、ちぎれ、晴れてしまう。
鳥が、その羽ばたきで雲を吹き飛ばしたのだ。
メビウス、こぶしを握り締め、ライトニングカウンターの構え。余裕の表情の鳥。
メビウス 「ゥゥゥゥゥゥ!セアーッ!」
近づいて殴りかかるメビウス。しかし大きく空振り!
鳥、その隙を捉えて、メビウスの胸にくちばしをつきたてる!
メビウス 「ヘァッ?!グアアああ……」
その痛みに苦しみの声をあげながら、墜落していくメビウス。

●地上
ビルの真上に落ちるメビウス!
丸々ひとつ押しつぶし、光となって消える。
マリナ  「ミライ君?!」
ジョージ、たまらず走り出す。

●メビウス墜落現場
瓦礫の中に横たわるミライ。胸を押さえている。
隊員たち 「ミライ!」「ミライ君!」「大丈夫かアミーゴ!」
リュウ、マリナ、ジョージが駆けつけ、リュウがミライを抱き起こす。
リュウ  「ミライ!おいミライ!しっかりしろ!」
ミライ  「(息も絶え絶えに)僕は……大丈夫です。それより、怪獣は……?」
隊員たちが空を見上げると、鉄筋コンクリートの瓦礫の向こう、銀の城に帰っていく鳥の姿。
戦慄と悔しさに、拳を握り締め、唇を噛む隊員たち。

●避難所内
床に毛布が敷かれ、その上や周囲には、非常持ち出し袋や、避難してきた家族が避難時に持ち出してきたと思しき生活用品が転がっている。
毛布の中央にぽつねんとユウヤが座っている。避難所全体がどんよりとしたムードだが、必ずしも少年の身に降りかかった不幸を嘆いているわけではなく、怪獣の襲来に対する将来の不安と、今の生活の辛さ、これまで続けてきた生活に加えられた打撃の痛みに、彼の身ばかりを慮ってはいられない、といったところ。

●ユウヤの回想
怪鳥のくちばしに摘み上げられ、一口で飲み込まれる彼の母親の姿。

●現実のユウヤ
じっと唇を噛み、こみ上げるものをこらえる。

●ユウヤの回想
「大丈夫だから」を繰り返す母親の姿。こちらを真摯に見つめた後、母親(ユウヤ目線なので後姿しか見えない)に応えるジョージ。

●現実のユウヤ
キッと顔を上げる。凛々しい決意のまなざし。
ごそごそと荷物の中を覗き込むと、貯金箱を握り締め、立ち上がる。

●ディレクションルーム
隊員たちが怪獣のデータが表示されたメーンモニタを見ている。
ミライ、胸を押さえ、少し苦しそう。
テッペイ 「始祖怪鳥テロチルス。ドキュメントMATに記録の残る、凶暴な肉食の巨大翼竜です」
ジョージ 「?鳥なのか翼竜なのかどっちなんだ」
テッペイ 「(頭を軽く掻きむしりながら)サンプルが少なく、いまいちはっきりしないんですよね。恐竜から分かれて鳥に進化したといわれるあの始祖鳥も、必ずしも鳥の先祖ではないという説もあって……」
リュウ  「んなこたどーだっていい。こいつを倒す方法はないのか」
テッペイ 「それが、なかなかの強敵みたいですよ。もともとは火山島である悪島に生息していたので、熱にはめっぽう強いんです。悪島は最近火山活動が沈静化したので、環境が変わってすみにくくなった。それで、ヒートアイランド現象によって気温の高くなった東京にやってきたんでしょう」
マリナ  「それで、ビームや光線が効かなかったのね」
ミライ、拳をぎゅっと握り締める。
テッペイ 「もうひとつ、うかつに熱攻撃を加えられない理由があるんです」
メーンモニタに今度は化学式が表示される。
テッペイ 「テロチルスは、口から白い雪のような分泌物を吐き出して巣を作ります。あの巨大繊維構造体も、これによって構成されているんですが、これの厄介なところは、その毒性にあります。熱を加えるか、亜硫酸ガスと化合すると、ダイオキシン系の猛毒ガスに変化してしまうんです」
コノミ  「じゃ、まちの人たちが倒れちゃったのも……」
テッペイ 「(頷いて)繊維構造体を構成する分泌物と、自動車の排気ガスが混ざり合って、毒ガスになったんだろうな。きっと悪島では、火山ガスと分泌物を混ぜ合わせて毒ガスを撒き、食べ物を捕食していたんでしょう。それともうひとつ」
メーンモニタに、今度は銀色の城内部のスキャンデータが、サーモグラフィーで表示される。テロチルスが避難所を襲う直前にテッペイが見ていたもの。
テッペイ 「これは、繊維構造体の内部の温度をスキャンしたものなんですが、テロチルスのものと思われる熱源以外にも、周りに小さな熱源があるの、わかりますか」
ミライ  「これ、ひょっとして……」
コノミ  「怪獣の、卵……ですか?」
テッペイ 「その可能性も捨てきれないんだけれど、僕は、これは備蓄食料としてとらわれた人たちじゃないかと考えてる」
ジョージ 「!(息を呑む)」
テッペイ 「避難していた人を飲み込むときに、テロチルスは噛まずにそのまま飲み込んでいるんです(メーンモニタに飲み込む瞬間の映像)。いくらテロチルスが大きいといっても、人間ほどの大きさのエサを、そのまま消化するのは大変でしょう。通常はくちばしで引きちぎるか何かして、もっと食べやすくすると思うんですけど……もしかしたら、コノミちゃんの言うとおり卵を産む気で、ヒナのエサにしようとしているのかもしれない」
ジョージ 「じゃあ、あいつに襲われた人たちや、行方不明の人たちは、まだ生きてるってことか?!」
テッペイ 「(顔を少し曇らせて)普通の人間の体温よりやや低いんですが、きっと、冬眠状態に近い形で、生きたまま保存されてるんじゃないかと」
リュウ  「しかし、ますます打つ手無しだな。たとえ人質を救出して、奴を倒せたとしても、そんなに巣が厄介なんじゃ、後が大変じゃねえか」
テッペイ 「その点に関してはご心配なく。確かにあの分泌物は、不完全燃焼させれば危険な毒ガスになりますが、高熱線砲などを使って高い温度で完全燃焼させてやれば、有毒ガスは発生しません」
サコミズ 「後は本体か……何か、有効な攻撃手段は?」
テッペイ 「奴にはひとつ、致命的な弱点があります。格闘能力が低く、打撃に弱いんです」
テッペイ、コンソールを操作。メーンモニタには、『帰ってきたウルトラマン』当時に倒されたテロチルスの死体の写真。ビル街の谷間に横たわっている。
テッペイ 「前回出現したときは、ウルトラマンすら空中戦で圧倒しましたが、地上での戦いの時には、容易に背中をとられ、投げ技を受けています。直接の死因も、空中でウルトラマンに捕まり、墜落したことだったんです」
リュウ  「つまり、奴を空中から叩き落すことが出来れば、倒せるんだな」
テッペイ 「ええ、例えばブリンガーファンの突風でテロチルスを捉えて地面に叩きつけることができれば、まずまちがいなく。しかし、(ちらりと気まずそうにミライを見て)ウルトラマンですら空中では苦戦する相手を、ブリンガーファンで狙い撃ちするのは……」
リュウ  「何弱気になってるんだよ。うちには、最高のファンタジスタ様がいるじゃねえか」
テッペイ、ジョージを振り向く。ジョージ、「まかせな」とばかりに不敵に笑う。ミライ、コノミ、マリナの3人、ジョージをみて頷く。

●夜の街
BGM:『我らCREW GUYS』。勇壮なBGMにかぶせ、隊員たちがきびきびと働いている(ここからBパートラストの前線本部のシーンまで、回想シーンのセリフ以外は、しゃべっているシーンがあってもセリフは聞こえない)。何台も並んだ投光機に、銀の城が照らされて煌いている。
その近くのビル屋上、ヘリポートに着地しているガンウィンガー。

●ディレクションルーム<回想>
ミサキ  「これから、作戦の最終確認をします」
神妙な面持ちのGUYS隊員たち。
ミサキ  「作戦開始とともに、投光機を消灯します。テロチルスは夜行性ですから、長時間明るい光に照らしていることによって、その活動開始をコントロールします」

●ガンウィンガーコクピット内
ミサキの声(回想)「ガンウィンガーは、行動開始したテロチルスを挑発、作戦ポイントまで誘導をお願いします」
ミサキの声にかぶせて、指差し確認を完了、操縦桿を握ったり離したりするリュウ。

●銀の城のふもと
最前線といった風情のテントが張られている。
ミサキの声(回想)「テロチルスが飛び去ったら、ミライ、マリナ両隊員は繊維構造体に突入。捕らえられた市民を救出後、キャプチャーキューブで構造体を完全に覆い、配置した新開発のフロギストン爆雷で一気に粉砕、完全燃焼させます。爆雷の設置は、市民の救出と並行して行ってください」
ミサキの声にかぶせて、メモリーディスプレイに装着したオプション(アンテナなどがついて、いかにもセンサーといった様子)の動作チェックをしているミライ。神経質にセンサーをいじったり、チェックを繰り返している。
そのミライの肩に手を置いて微笑むマリナ。ミライも微笑を返す。

●作戦ポイント
Aパートでメビウスが墜落したビルの跡地である。
ミサキの声(回想)「テロチルスが作戦ポイントまで誘導されてきたら、ただちにブリンガーファンによる攻撃を仕掛けます。ガンローダーはぎりぎりまでビルに隠れ、その存在を悟られないように留意してください」
ミサキの声にかぶせて、先ほどのリュウ同様、機体のチェックをしているジョージ。

●前線本部
遠景に、銀色の城が見える。
ミサキの声(回想)「爆雷の起爆指示、および作戦の指揮は現地でサコミズ隊長がとります」
テントが張られ、機材がセッティングされている。
ミサキの声にかぶせて、機材の前に座り、調整や連絡などをしているテッペイ、コノミ。
ミサキのセリフの「サコミズ隊長が……」にあわせて登場し、二人の肩に手を置くサコミズ。

●ディレクションルーム<回想>
隊員たちが立ち上がり、サコミズのほうを見ている。
サコミズ 「一度は敗れた相手だ。細心の注意を払って行動するように」
頷く隊員たち。
サコミズ 「GUYS、サリーゴー!」
隊員たち 「GIG!」
BGM:『ワンダバCREW GUYS』アイキャッチ的に短く編集して使用。 ヘルメットを取り、飛び出していく隊員たち。

●封鎖線
道路の真ん中に立ち入り禁止のポールが置かれ、2人の警察官が立ちふさがっている。遠くに銀色の城が見える。
不意に封鎖線の内側から、ガサガサッ!と何か軽いものが地面に落ちたような音がする。
驚き振り向く警官2人。誰かがポイ捨てしたのか、薄い雑誌が風に吹かれて転がっていく。
警官1  「何だ……びっくりした」
警官2  「怪獣かと思いましたよ」
正面を向きなおす警官2人。

●封鎖線内側
リュックサックを抱きしめてドキドキしているユウヤ。
あわててあたりに散らばった花火や爆竹を拾い集める。

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