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当企画『ウル博オリジナル版・ウルトラマンメビウス』は、円谷プロ作品「ウルトラマンメビウス」の番外編として執筆されております。
そして今回のお話は、ウルトラマンヒカリが地球から立ち去り、ベムスター戦が終わったばかりの頃の物語となっております……

●勇壮なファンファーレと共にメイン・タイトル

●丸の内・二十八番街
バルタン星人の光線を受けて、氷のように凍てついてしまったウルトラマンメビウス。

●ガンローダー・操縦席
マリナ  「(愕然と)そんな……」
ジョージ 「嘘だろ……?」

●GUYS司令室
テッペイ 「(信じられず)メビウスが……」
サコミズ 「…………(歯痒そうな表情)」

●ガンウィンガー・操縦席
リュウ  「メビウスが……固まっちまった……」
呆然とした面持ちのリュウ。悪い夢を見ているような表情を浮かべる。

●丸の内・二十八番街
メビウス、二十八番街の中央で固まってしまったまま動けない。
バルタン星人、メビウスを見下して高らかに笑い声をあげている。
そこへ、メフィラス星人の円盤がスゥッと出現、メビウスの頭上で静止する。
円盤から、メビウスに向けて青白い光線が照射される。
メビウスの身体、円盤に吸い込まれるように消えてしまう!
同時に、バルタン星人も緑色の粒子へと拡散して消失する。
円盤、メビウスを取り込み終えると、その場から立ち去ろうと動き出す。

●ガンローダー・操縦席
ジョージ 「逃がすかっ!(操縦桿を切る)」

●丸の内・二十八番街
円盤を追おうとするガンローダー。
……と、いつの間に出現したのか、三機のガンクルセイダーがその進路を妨害する。

●ガンローダー・操縦席
ジョージ 「うわっ!(慌てて操縦桿を倒す)」
ジョージ、何とか回避を行う。
トシヒロ 「《通信》無駄なことはやめといたほうがいいぜ、後輩」
マ キ  「《通信》そうそう。人生、諦めが肝心よ?」
旧GUYS隊員の声、通信回線に割って入る。

●ガンウィンガー・操縦席
旧GUYSの通信、ガンウィンガーの中にも届いている。
ユタカ  「《通信》リュウ、おまえも通信を聞いているだろう? ジタバタと無駄な悪あがきをせず、潔く諦めてメフィラス星人に従わないか? 俺達と一緒にさ。そうしたら、おまえの未来は保障されるんだぞ?」
エリカ  「《通信》そうよ。ただ、メフィラス星人に一言を言うだけでいいんだから。『地球をあげます』ってね♪」
リュウ  「地球を……あげます……?」
リュウ、先輩達からの誘いに、逡巡してしまう。そのとき、
ジョージ 「《通信》ふざけるなっ!」
割って入ってきた、ジョージの言葉にハッと心を取り戻す。

●ガンローダー・操縦席
ジョージ 「(激怒して)貴様等……っ! リュウが、そんなバカな誘いに乗ると思ってんのかっ?」
マリナ  「(声を震わせて)そうよっ! 私達は、あなた達とは違うんだからっ!」

●ガンクルセイダー2号機・操縦席
ガンクルセイダー2号機には、エリカとマキが搭乗している。
マ キ  「(フッと笑って)あなた、カザマ・マリナちゃんよね? 新生GUYSの優秀な女性隊員……そして、優秀な女性ライダーの一人……」
マリナ  「《通信》どうして、私のことを……」
マキ、前方に備え付けられたコンピューターを操作する。
コンピューターのモニターに、マリナの顔写真とデータが表示される。
マ キ  「メフィラス星人の情報収集能力を持ってさえすれば、GUYS隊員の個人情報を引き出すことぐらいワケもないのよ。もちろん、『カドクラさん』の情報も……」
コンピューターの画面に、カドクラさんの写真が映し出される。
マリナ  「《通信》(動揺して)カドクラさんのことを調べたのっ?」
マ キ  「だーかーらー。わざわざ調べようとしなくても、個人情報なんて簡単に手に入れることができちゃうのっ」
エリカ  「(微笑み)そうそう。メフィラス星人の情報収集能力をナメちゃいけないわよ?」

●ガンローダー・操縦席
ユタカ  「《通信》メフィラス星人に『地球をあげます』と宣言すれば、キミが大事に思っている人達の未来も保障される。けれど、キミがメフィラス星人に逆らうのならば……どうなるか、見当はつくだろ?」
マリナ  「…………」
ユタカのダメ押しの一言に、マリナは黙り込んでしまう。
ジョージ 「おまえらっ! 俺の仲間をたぶらかすんじゃねぇっ!」

●丸の内・二十八番街
ガンローダー、大きく反転してガンクルセイダーに向かっていく。
機体の先端部から、バリアブルパルサーを発射する!

●ガンクルセイダー1号機・操縦席
ユタカ  「甘いな……(余裕たっぷりに微笑んで)メテオール発動……っ」
マサヤ  「(頷き)スパイラル・ウォール……っ!」

●丸の内・二十八番街
ガンクルセイダー、スパイラル・ウォールによって攻撃を簡単に弾き返してしまう。

●ガンローダー・操縦席
ジョージ 「うわっ!」
ジョージ、跳ね返ってきたビームを辛うじてよける!
再び顔を上げると、前方にガンクルセイダーの姿はない。
ジョージ 「くそっ。逃げられたか……っ」
ジョージ、悔しそうに歯噛みをする。
マリナ  「…………(俯いている)」

●ガンウィンガー・操縦席
リュウも、暗い表情を浮かべている。
リュウ  「…………(奥歯を噛み締める)…………」

●オープニング




ヒビノ ミライ




アイハラ リュウ




イカルガ ジョージ
カザマ マリナ




アマガイ コノミ
クゼ テッペイ




ミサキ女史




サコミズ シンゴ




アライソ




ユタカ (旧GUYS)
マサヤ (旧GUYS)

エリカ (旧GUYS)
マ キ (旧GUYS)

トシヒロ(旧GUYS)
タカシ (旧GUYS)




コメンテーターA
コメンテーターB
コメンテーターC




司会者
女性キャスター





アラシ長官






脚本/葵女子♪






悪質宇宙人
メフィラス星人
マケットエイリアン・ バルタン星人
ザラブ星人
ケムール人
イカルス星人
マグマ星人
ダダ
登場

●GUYS司令室
GUYS司令室には、ミライ以外の隊員が揃っている。どの表情も重く険しい。
コノミ、マケット怪獣のリムの頭を撫でながら、
コノミ  「それにしても、ミライ君……何処へ行っちゃったんでしょう……」
ジョージ 「まさか、メフィラス星人にやられてはいないと思うが……」
ジョージの言葉に、誰一人として賛同も反論もしようとはしない。
サコミズ 「……(目を伏せる)…………」
マリナ、重く沈んだ空気に耐えられずに立ち上がる。
マリナ  「……私、ミライ君を探しに行ってくる。もしかすると、まだ現場に残ってるのかもしれないし……いいですよね?隊長」
サコミズ 「……(頷く)……」
マリナ、ヘルメットを手にして司令室を出て行く。
一方、リュウは虚ろな表情でファイヤーエンブレムの入ったメモリーディスプレイを見つめている。
リュウ  「……(セリザワとの別れを思い出す)」

○回想・メビウス17話『誓いのフォーメーション』より
セリザワ 「(リュウを見て)GUYSを……メビウスを頼んだぞっ!」
セリザワ、ウルトラマンヒカリへと変身して、宇宙の彼方へと飛び去っていく。
リュウ、涙を流しながらそれを見送る。

●GUYS司令室
リュウ  「《M》セリザワ隊長、すまねぇ……! 俺はメビウスを守れなかった……! それだけじゃねぇ……GUYSの誇りさえも守りきれてねぇんだ……アンタの育てた先輩達が、今は地球人の敵になっちまった……っ」
リュウ、メモリーディスプレイを握り締める。
リュウ  「《M》正直、今度ばかりはどうしたらいいかわかんねぇよ……セリザワ隊長……! アンタだったら、こういうとき、どうするんだよ……っ?(苦悩に表情を歪ませる)」
サコミズ、そんなリュウの様子を見て、沈鬱そうな表情を浮かべる。

●円盤内
ミライ、薄暗い室内に倒れている。
ミライ  「(目を覚まして)……此処は……?」
メフィラス「私の宇宙船の中だよ、ウルトラマンメビウス……」
低いトーンの声と共に、薄暗い壁の向こうからメフィラス星人が現れる。
ミライ  「メフィラス星人……っ!(銃を構えようとする)」
メフィラス「(落ち着いた様子で)やめたまえ。宇宙人同士が戦っても何にもならない」
メフィラス星人の落ち着き払った態度に、ミライは銃にかけた手をゆっくりと離す。
しかし、警戒の姿勢だけは崩そうとしない。
メフィラス「そんなにピリピリとした表情を浮かべるのはよしたまえ。キミの偉大なる先輩は、こういう事態に陥っても冷静そのものだったぞ」
メフィラス星人、紳士的な態度を見せる。
ミライ  「(睨みつけ)メフィラス星人、おまえの目的は何なんだ?」
メフィラス「地球の侵略だよ」
ミライ  「!」
メフィラス「ただし、地球人に危害を加えるつもりはない。私の言うことにさえ従ってくれれば、永遠の幸せを約束するつもりだ」
ミライ  「おまえの命令に従ってさえいれば、地球への攻撃はしないというのか?」
メフィラス「ああ、そうだ。暴力や破壊で地球を支配しようなど、野蛮で美しくない行為だからね。それは、私の美学に反している。私が望むものは、地球の無血降伏なのだ」
ミライ  「無血……降伏……?」
メフィラス「そうだとも。現に、マケットエイリアン達は君達を攻撃しなかっただろう?」

○回想・前編のダイジェスト
ミクラスやGUYSメカに、一方的にやられているケムール人とザラブ星人。
バルタン星人もメビュームシュートを弾き返した以外は、メビウスに対して何の攻撃も行ってはいない。

●円盤内
ミライ  「あのマケットエイリアン達は、最初から僕達に勝つつもりもなかったのか……?」
メフィラス「その通りだよ。ウルトラマンメビウス……彼等を出現させたのは、単純にキミを誘い出したかっただけさ」
ミライ  「僕を誘い出すため……? じゃあ、バルタン星人がリュウさんを攻撃しようとしたのも……」

○回想・前編のダイジェスト
バルタン星人の光弾、リュウの搭乗するガンウィンガーに命中しそうになる。
ウルトラマンメビウス、自らの身体を盾にしてガンウィンガーを庇う。

●円盤内
メフィラス「地球人をピンチに陥れなければ、キミは現れてくれないからね」
ミライ  「(睨みつけて)……一体、何のために……こんなことをっ!」
メフィラス「地球人に絶望を与えるためだよ……」
ミライ  「絶望……?」
メフィラス「そうだ。GUYSの諸君やかつての防衛隊は、ウルトラマンに頼らずに自分達の力だけで敵に打ち勝とうとしてきた。だが、それ以外の人間はどうだ? 自分達の命は防衛隊やウルトラマンが守ってくれると考え、自分達の力では何も解決しようとはしない」
ミライ  「…………」
メフィラス「地球人は『ウルトラマン』という存在を神のような存在で見ている。ウルトラ戦士であるキミは、まさに地球人にとっての英雄なのだよ。その英雄が敗れ去った……それは、地球人にとって未来が打ち砕かれたということに等しい……」
ミライ  「そのために、僕を捕らえたというわけか……」
メフィラス「(頷き)キミの敗北は、地球人の心から夢や希望を消し去るのに十分な役割を果たしてくれた。夢も希望も失ってしまった地球人は、私に地球を容易く売り渡してくれることだろう」
ミライ  「そんなことはないっ! (頭を振って)地球を……故郷を売り渡すような人間はいないっ! おまえの思い通りには絶対にならないっ!」
メフィラス「ふふふ……それはどうかな?(左手をサッと翳す)」
黒い壁面が、モニターのようなものに変わり、地球のニュース映像を映し出す。

●ニュース番組
ニュース映像のテロップには、『ウルトラマン敗北!』の記述がなされている。
生真面目そうなコメンテーターたち、重苦しそうな表情で会話している。
コメンテーターA「ウルトラマンメビウスが本当に死んでしまったかどうか……そんなことはともかくです! 実際、メビウスはメフィラス星人に太刀打ちできなかったじゃないですか! そんな強敵を相手にして、人類にどんな手段が残されているとっ?」
コメンテーターB「しかし、そう簡単に諦めてしまっては……」
コメンテーターA「諦めじゃないですよ! むしろ、冷静な判断です!」

●ワイドショー
チャンネルが変わり、今度はワイドショーの映像が流される。
番組のテロップには、『遂に地球の最後かっ?』の記述がなされている。
司会者  「けれども、40年前にはウルトラマンがメフィラス星人を地球から追い帰してましたよね?」
コメンテーターC「追い帰したというのは……果たして、どうでしょうかね? 私が思うには、メフィラス星人の方が地球に猶予を与えてくれていたようにも感じるのですがねぇ」
女性キャスター「それでは、今度こそ本気で決着をつけに来たと……?」
コメンテーターC「(頷き)現実にメビウスは倒され、GUYSも手も足も出ないような状況じゃないですか。そんな状況で戦おうとすること自体が、被害を更に広げてしまう愚かな行為と言えるんじゃないでしょうか?」

●円盤内
メフィラス「見たまえ。地球人の大半が、私に平れ伏そうとしている。力のある者が正義……その意味が、ようやくわかったのではないかな? ウルトラマンメビウス……」
ミライ  「…………(悔しさに拳を握り締める)」

●丸の内・二十八番街
一時間ほど前、メビウス・GUYS連合軍とマケットエイリアン連合軍が戦った場所。
様々なテレビ局の報道カメラが、現場の被災状況を取材している。
二十八番街の公園に、マリナがバイクに乗って走ってくる。
マリナ、ヘルメットを取り外し、長い髪をパサッと振り回す。
マリナ  「…………」
マリナ、手に取ったヘルメットを見て、ユタカの言葉を思い出す。

○回想・ユタカ
ユタカ  「メフィラス星人に従えば、キミが大事に思っている人達の未来も保障されるんだ」

●丸の内・二十八番街
マリナ  「メフィラス星人に従えば……カドクラさん達は……」
ヘルメットに、カドクラのイメージが重なる。
マリナ  「(土を踏みつける音に気づき)……!」
マリナ、足音がした方向へと視線を向ける。
そこには、GUYSの隊員服を着用したユタカの姿がある。
マリナ  「あの人は……まさか……っ」
彼の手には、黒色のメモリーディスプレイが握られている。
ユタカ  「……(メモリーディスプレイをかざす)……」
メモリーディスプレイから、マケット=バルタンが召喚される!
バルタン 「フォッフォッフォッフォ……っ!」
高らかに笑い、自分の存在を知らしめるマケット=バルタン!
被災状況を取材していた報道陣、バルタン星人の出現に気付いてカメラを向ける。

●GUYS司令室
コノミ  「大変ですっ! 二十八番街にバルタン星人がまた現れましたっ!」
モニターに、バルタン星人が映し出される。
ジョージ 「また出やがったか……っ!」
ジョージ、司令室を飛び出そうとする。
テッペイ 「待ってください! 他の地域にも、マケット=エイリアンが出現した模様ですっ!」
サコミズ 「他の地域にも……っ?」
テッペイ 「(頷き)ニューヨーク・ロンドン・上海・シドニー・モスクワ……世界各地に、宇宙人が出現しているんです!」
モニター、世界各地の都市を映し出す。
自由の女神、ビッグベン、オペラハウス……世界中の有名な建造物をバックにして、宇宙人達が巨大な姿を現している。

●ニューヨーク
ケムール人「地球人どもよ、メフィラス星人に従うのだ」
ケムール人、テレパシーを発して、ニューヨーク市民に呼びかけている。
マサヤ、そんなケムール人の様子を、メモリーディスプレイを手にして見つめている。
ケムール人を見つめるマサヤの瞳、青く光を放っている。

●ロンドン
ザラブ星人、ロンドンに出現している。
ザラブ  「メフィラスに従った者は、永遠の幸せが訪れることを約束しよう」
ザラブ星人の足元には、エリカが立っている。

●北京
北京には、イカルス星人の姿がある。
イカルス 「戦争や交通事故・イジメ・貧困……何一つの問題もない、永久に楽して暮らせる天国のような生活が訪れることを約束しよう」
イカルス星人の足元には、マキの姿がある。

●モスクワ
モスクワには、マグマ星人とトシヒロの姿が確認できる。
マグマ  「メフィラスに反抗さえしなければ、君達へ危害を加えるつもりはない」

●シドニー
シドニーには、ダダとタカシの姿がある。
ダダ   「私は、平和的な解決を望んでいる」

●円盤内
メフィラス「ただ一言、私に『地球をあげます』と宣言して、絶対の忠義を誓いたまえ。それだけで、キミ個人と……キミ達にとっての大切な人の命が保障されるのだ」
メフィラス星人、青い目を爛々と輝かせて言葉を発している。

●丸の内・二十八番街
バルタン 「しかし……もしも、メフィラスに逆らうようであれば……」
バルタン星人の目がギラリと輝く。その瞬間、空中に大型タンカーがフワフワと出現する。
大型タンカー、人々の見ている前で大爆発っ!
マリナ  「きゃっ!」
その場の人々、タンカーの爆風に吹き飛ばされる。
マリナが再び顔をあげると……バルタン星人とユタカの姿は消えてしまっている。

●ニュース映像
コメンテーターA「結局、メフィラス星人に従った方が得策だということです」
キャスター 「それでは、宇宙人に地球を明け渡せと……?」
コメンテーターB「相手は、ウルトラマンを倒した侵略者だぞっ?」
コメンテーターA「侵略者と決め付けるのは、どうでしょうかね? 彼は何の破壊活動もしていないし、人も殺していないんですよ? 爆破されたタンカーだって、廃棄寸前のスクラップ船だったわけじゃないですか」
コメンテーターB「しかし……っ!」
コメンテーターA「確かに、ウルトラマンは地球人のために戦ってきてくれていました。だが、彼等によって戦争や事故など、社会不安がなくなったということはありませんでした。しかし、メフィラス星人はそれらの問題を解決すると約束している」
キャスター 「でも、具体的な説明はまだなされてませんよね?」
コメンテーターA「説明するほどのことではないのかもしれません。彼等は我々の想像もつかない科学力を持っている。そんなテクノロジーを相手にして無謀な挑戦を行うより、彼等と手を組んで技術提供を受けた方が、人類の発展に繋がるのではないでしょうか?」
一同、黙り込んでしまう。
コメンテーターA「たった一言で永遠の幸せが保障されるというのなら、私は何遍でも言いますよ。『地球をあげます』とね」

●円盤内
ミライ、光のロープで縛り付けられたまま、そのニュースを見ている。
メフィラス「(笑って)どうだ? 甘い条件を出すだけで、今の地球人達は簡単に心を揺り動かしてしまう。みんな、自分の身が可愛いのさ。自分達さえ幸せであれば、周りのことなんて気にも止めない。簡単に『地球をあげます』と口にしてしまう」
ミライ  「おまえはどうして、そんなにも『地球をあげます』という一言にこだわるんだ? 人間にそんなことを言わせて……どんな意味があるんだっ?」
メフィラス「(小さく笑い)キミは、言霊というものを知っているか?」
ミライ  「コトダマ……?」
メフィラス「そうだ。言葉には、目に見えない霊力がある……その言葉の持つ魔力を『言霊』と呼ぶのだよ」
ミライ  「どういうことだ?」
メフィラス「言葉というものはな、人の心を簡単に縛りつけてしまうのだよ。たとえ、それが軽はずみな発言であろうとも……言葉は呪いのように人の心に絡みつき、その精神を支配していく……」
ミライ  「心を支配する……」
メフィラス「まぁ、一種の自己暗示のようなものだな。やがて、その言葉は現実のものへと変わっていく……」
ミライ  「…………」
メフィラス「心とは、自分が思っている以上に弱いものだ。絶望と不安のドン底に突き落とされた後に、甘い餌をちょっとでも差し出されでもしたら……人の心は簡単に揺り動かされてしまう……」
ミライ  「最初から、それが狙いだったのか……? 初めから、人の心の弱さにつけこむつもりで……」
メフィラス「ああ。私は、地球人の心に挑戦したかったのだ。40年前は子供の心に負けてしまったが……私は、ずっと信じていた。地球を売り渡す人間が、いつか必ず現れると……長い間、待ち続けた甲斐があったよ……ふははは……っ」
ミライ、ギリギリと悔しそうに歯噛みをする。

●GUYS司令室
司令室へと帰還したマリナ、タンカー爆発によって擦りむいた傷の手当を受けている。
コノミ  「(手当てをしながら)ミライ君は、結局見つからなかったんですね……」
マリナ  「うん……(暗い面持ちで頷く)」
ジョージ 「(溜息をついて)おい、マリナ。さっきの話、本当なのか? 俺達の先輩が、バルタン星人を操っていたというのは……」
マリナ  「ええ。バルタン星人を呼び出している姿を、この目でハッキリ見たもの……」
コノミ  「それじゃあ、他のマケット・エイリアンも……」
サコミズ 「旧GUYSの隊員達が操っている可能性が高いだろうな……」
ジョージ 「だが、ザラブ星人やケムール人は、俺達の手で倒したはずじゃないか」

○回想
ザラブ星人とケムール人、ミクラスとGUYSによって倒される。

●司令室
ジョージ 「それなのに、どうしてまた出てくるんだ?」
テッペイ 「マケット・エイリアンですから……高分子ミストさえあれば、何度でも復元可能です……」
コノミ  「(愕然として)そんな……」
テッペイ 「それだけじゃありません……もしかしたら、メフィラス星人はもっと多くのマケット・エイリアンを所持しているのかもしれないんです……何しろ、高分子ミスト化した宇宙人や怪獣のデータはかさばりませんからね……」
ジョージ 「物量戦になれば、メフィラス星人の勝ちってわけだ……」
テッペイの言葉に、ジョージの表情も曇る。
リュウ  「そのうえ、メフィラス星人には、歴代防衛隊パイロットの中でも、トップクラスの操縦テクニックを持つ先輩たちがついている……」
コノミ  「メフィラス星人自身、ウルトラマンと互角に戦えるほどの実力を秘めているんですもんね……」
テッペイ 「メビウスが消えてしまった今、僕達の力だけでメフィラス星人に勝てる確率は……どう計算してみても……」
GUYSメンバー、敗因要素を口に出すたびに弱気になっていく。

●円盤内
メフィラス星人の円盤内には、GUYS司令室の様子が映し出されている。
ミライ  「皆さん、どうして弱気になってるんですかっ!」
ミライ、光のロープに縛り上げられたままの状態で叫ぶ。
ミライ  「リュウさんっ! セリザワ隊長に約束したじゃないですかっ! 地球は、GUYSの手で守るんだって……!」
ミライの悲痛な叫びは、モニター向こうの隊員たちに届かない。
メフィラス「無駄だよ、ウルトラマンメビウス……彼等は悟ったのだ。自分たちの敗北を……そして、彼等が発した忌み言葉は、彼等自身の心の奥に絡みつき、敗北を現実のものへと変えていく」
ミライ  「…………(悔しそう)」
メフィラス「これで、私の積年の夢であった地球侵略が実現する……っ! ふはははっ!」
メフィラス星人、自分の勝利を確信したように高らかと笑う。

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