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当企画『ウル博オリジナル版・ウルトラマンメビウス』は、円谷プロ作品「ウルトラマンメビウス」の番外編として執筆されております。
そして今回のお話は、第31話「仲間達の想い」以前、つまり『ミライ=メビウス』である事を、GUYSの仲間たちが知る『前』の物語となっております……

●勇壮なファンファーレと共にメインタイトル

●山中
真夜中の山奥に、研究所がそびえたっている。 窓にはカーテンが引かれ中を見えないが、時々強い発光がもれてくる。 入り口の表札には、『一乃本工学研究所』とある。

●実験室
たくさんの機械が並ぶ中、一人の男が机に向かい手に溶接機械を持ち、火花を飛び散らせながら何やら製作している。
終始無言であったが、いきなり体を起こし
謎の男  「とうとうできたぞ!クククク……」
そして、怪しげに笑い始める……

●宇宙
暗黒の宇宙の彼方から、突然カプセルが地球に向かって落下していく。 そのカプセルが去っていった後には、ゆらめくように宇宙船の影が……

●山中(昼)
空から40m大のカプセルが落ちてくる。
山と山の間に墜落するが、これといった衝撃は起こらない。
するといきなり怪獣―――ラキュート―――がヒョイッ、と顔をだす。

●オープニング




ヒビノ ミライ



アイハラ リュウ



イカルガ ジョージ



カザマ マリナ



アマガイ コノミ



クゼ テッペイ



トリヤマ補佐官



マル補佐官秘書



サコミズ シンゴ



イチノモト博士



脚本/メタエス



愛猫怪獣
ラキュート
謎の宇宙人
登場

●街中(昼)
     『S地区に怪獣が現れました。付近住民はただちに避難してください―――』
警報が鳴り響き、人々が慌しく町の中を同じ方向に向かって駆けていく。
その中を、逆方向に駆けていくリュウとミライ。
リュウ、胸ポケットからメモリーディスプレイを取り出す。
リュウ  「現在の怪獣の動きは?」

●フェニックスネスト司令室
中にはサコミズ、テッペイ、コノミ、それにトリヤマ補佐官とマル補佐官秘書。
テッペイ、モニターを見ながら言う。
テッペイ 「いや……それが……出現地点からほとんど動いていません」

●山中
山を椅子替わりにしてボケッとして座りこんでいるラキュート。
時々頭を掻いたり、腹を掻いたり、あくびをしたり。
頭部には猫を思わせる耳があり、目はつぶらで、腕には肉球がある。

●街中
リュウ  「それは好都合だ。一気にやっちまおう!」
今度はミライがメモリーディスプレイを取りだし、通信し始める。
ミライ  「リュウさん、付近住民の避難が完了したようです」

●山中
ガンローダーが飛んでくる。
中のコックピットには前部座席にジョージ、後部座席にマリナ。
ジョージ 「……にしても何もしないな」
マリナ  「なんだか倒すのも憚られるわね」
と、ガンローダーを見つけたラキュート、それを目で追う。
ジョージとマリナ、警戒する。
が、ずっと目で追うだけ。

●フェニックスネスト司令室
少々拍子抜けしたような雰囲気。
テッペイ 「……何もしてきませんね」
サコミズ 「とりあえず怪獣に関するデータの分析だ。不用意な攻撃はしないように。ただし、町に向かって動きはじめた時は阻止しろ」
トリヤマ 「サコミズ隊長、何も遠慮せずにさっさとやっつけてしまえばいいではないか」
サコミズ 「あの怪獣にどんな能力があるのかもよく分かりません。まだ破壊活動を始めていないのなら、無理に攻撃する必要もありません。どうも地球上の生物ではないような節もありますし」
トリヤマ、不服そうな顔。
コノミ、モニターをじっと見つめる。
コノミ  「この怪獣かわいいですね……」
モニターの中では、ラキュートが耳あたりを腕で掻いている。

●街中
リュウ  「待機……ねえ……」

●山中
ラキュート、未だにこれといった行動をしない。
ガンローダーが辺りを飛びまわるが、それにも興味をうしなった様子。
そのうち、日が暮れて夕方になり、そして夜になる。
ラキュート、そのうちに寝はじめる。
いびきはかかず、寝息もスースーと些細なもの。
そのうちに、その山を一つ越えたところに、GUYS野営地が設営される。

●GUYS野営地
既に深夜。
いくつものテントが並び、GUYS職員が数名いる。
その中に、リュウら4人がいるが、いずれも暇そうである。
ジョージ 「ねむ……おれ仮眠とってくるわ」

●フェニックスネスト
すでにトリヤマとマルはいない。
サコミズはコーヒーを淹れており、コノミはリムエレキングと遊んでいる。
テッペイ 「ねむ……僕仮眠とってきます」

●山中
太陽が昇り、辺りが明るくなり始め、ニワトリが鳴く。
その声に答えるようにラキュートが目を開ける。

●GUYS野営地
一瞬、全員に緊張が走り、身構える。
ジョージ 「おはよ……ん!?」
目をこすりながらあらわれるジョージだが、すぐに身構える。

●司令室
同じく身構える。
ドアが開いてテッペイが入ってくる。
テッペイ 「おはよ……ん?」
様子を見て急いで席につくテッペイ。

●山中
が、再び山に座りこみ、前日と同じくこれといった行動をしない。

●GUYS野営地
全員拍子抜け。

●山中
またしても山に座りこんだまま。
そのまま日は昇って沈み、夜になりラキュートは眠り、
そのまままた朝太陽が昇り、ニワトリが再び鳴き、ラキュートが目を覚ます。

●GUYS野営地
リュウ  「一体どうしろってんだ!」
ミライ  「本当に何もしませんね……」
マリナ  「手の出しようがないわね……」
ジョージ 「いっそ暴れてくれた方が助かるのに」
一同、ジョージを不謹慎だという目で見る。

●司令室
コノミ  「そういえば、発見されてから何も食べてないみたいですけど、大丈夫なんでしょうか?」
テッペイ、端末を操作しながら
テッペイ 「どうも何も食べなくてもいいみたいですよ」
モニターに画像が映る。
テッペイ 「ラキュートの周辺の二酸化炭素濃度が急激に減少しています。他のデータと比較してみて、あくまでも推論に過ぎませんが、どうも二酸化炭素を栄養元にしているみたいですよ」

●GUYS野営地
リュウ  「なるほど……じゃあ環境にいいんじゃねえか」
マリナ  「そういう問題じゃないと思うけど……」
ジョージ 「みんなで飼えばいいんじゃないのか?」
マリナ  「いやだから……」

●司令室
ドアが開き、トリヤマとマルが入ってくる
トリヤマ 「やあGUYSの諸君。元気でやっとるかね」
サコミズ 「どうしたんです?」
トリヤマ 「実はGUYS総本部からの決定を伝えに来たのだ」
テッペイ 「あれ?そういうのは普通ミサキさんが言うんじゃ…」
トリヤマ 「ミサキ総監代行は、会議のためニューヨークに出向されておる。その代わりに、私が伝えるということだ」
マル   「そのせいでこんなにはりきっちゃってるんですよ」
サコミズ 「で、決定とは?」
トリヤマ 「おおそうだった。GUYS総本部は、あの怪獣を保護することを決定し、その保護活動をGUYSジャパンに一任するそうだ」
サコミズ 「何故です?」
トリヤマ 「おや?知らんのか世間での騒ぎを?」
言いつつ、雑誌、新聞を束で出す。表紙にはラキュートの顔がでかでかと載っているものもある。
テッペイ、手にとってページを開く。
テッペイ 「何々……世間で大人気のラキュート……って単に世間の受けがいいからとか、そんな理由ですか」
トリヤマ 「もちろんそれもあるが、大人しく、二酸化炭素を減少させているという点もあるようだ」

●GUYS野営地
マリナ  「なんだかなあ…」
ミライ、メモリーディスプレイを使って
ミライ  「でも、保護すると言ったって、どうやって?」

●司令室
トリヤマ 「おお、よくぞ聞いてくれた。こんなこともあろうかと、最新型メテオールが偶然昨日完成してな」
テッペイ 「最新型メテオール?」
ドアが開き、眼鏡をかけた老人が入ってくる。
謎の男  「そのことに関しては、私から説明させてもらおう」
テッペイ 「えっと……どなたですか?」
トリヤマ 「この方こそが最新型メテオール『サイレン0057』の開発者、イチノモト博士だ……ってなんでここまで来てるんだね!?」
イチノモト「私が『サイレン0057』の開発者のイチノモトだ。」
テッペイ 「いやそれはさっき聞きましたが……」
イチノモト「私の発明がこの作戦に使われる限り、私は最後まで『サイレン』の面倒をみる必要がある」
テッペイ 「は、はぁ……?」
トリヤマ 「イヤイヤイヤ、その辺は実戦部隊である我々GUYSに全て任せてもらえれば……」
イチノモト「クルーGUYSが新メンバーに代わってからの被撃墜率約5%」
トリヤマ 「は?」
テッペイ 「いや、でもその数字は今までの防衛チームと比べるとだいぶ少ないと思いますよ。ラキュート自体もあんまり凶暴な怪獣じゃあないみたいですし」
イチノモト「まだ高い!その数%がどんな事態を引き起こすか分からんのだ!そういうわけで作戦には私も参加する」
コノミ  「作戦?」
イチノモト「おおそうだ、そっちの方を先に説明せねばならん」

●山中
欠伸をするラキュート。

●司令室
どこから持ってきたのか、ホワイトボードにマジックペンで数式やら図を描いて説明を始めるイチノモト。
サコミズ 「そんなことしなくても、モニターを使えば……」
イチノモト「こうせんと調子が出んのだ」
トリヤマ、マル、テッペイ、コノミは隅っこでこそこそと話している。
トリヤマ 「イチノモト博士は研究者の間でも変人で通っていてな。なんでもかんでも自分でやらんと気が済まず、しかもプライドが変に高い性格らしい」
マル   「どうも研究所も山奥のへんぴな場所で一人でいるらしいですよ」
テッペイ 「……典型的なマッドサイエンティストって奴ですか」
イチノモト、指差して
イチノモト「そこ!聞いているか!」
一同   「ハイ!」
一斉にホワイトボードの方へ向く。
イチノモト「とまあ、理論は説明しても分からないだろうから省くとして、『サイレン0057』は怪獣の誘導を可能とする装置である」
コノミ  「要するに、ハーメルンプロジェクトみたいなものでしょうか?」
イチノモト「それより数百万倍高性能だ。音波に加えて光による誘導も可能とし、さらにどこぞの宇宙怪獣と共鳴する可能性もゼロだ!」
テッペイ 「ハァ……それで、作戦というのは?」
イチノモト「こいつを戦闘機にぶら下げ、あの怪獣を保護地域まで誘導するというものだ」
トリヤマ 「一体誰がいつの間にそんな作戦の立案を?」
イチノモト「もちろん私だ」
トリヤマ 「……」

●GUYS野営地
ミライ  「それで、作戦に参加するというのは……」

●司令室
イチノモト「『サイレン』の管理には細かい作業が必要でな。私もついて操作せねば安心できん」
テッペイ 「はぁ……」
イチノモト「まあ、本来私としてもこんな使い方は不本意なのだが」
コノミ  「どういうことです?」
イチノモト「元はいえば怪獣と人間の住処の区別をはっきりつけるための機械だったのだがな。動物園、いや、怪獣園を作るためのものにはあまりしたくはないのだが」
テッペイ 「どういうことです?」
イチノモト「どうせあんなの保護したって、見世物にするぐらいしかできないじゃないか」
コノミ  「そんな!見世物だなんて!」
イチノモト「それに二酸化炭素が常食ですといったって、どうしたって設備とか維持費の方が高くつくわい。それならロケットにでも括り付けて宇宙に飛ばしたほうがよっぽど経済的かつ平和的だ」
テッペイ 「は、はぁ……」

●山中
朝。 一昨日と昨日と同じように太陽が昇り、ラキュートが目覚める。
ガンフェニックスがなにやら下部に三つのライトのついた信号機と、更にスピーカーのついたメカを携えてやってくる。

●ウィンガー側のコクピット
前部座席にはリュウが、後部座席にはイチノモトが乗っている。
リュウ  「ガンフェニックス、目的地に到着しました」
イチノモト「『サイレン』も準備完了だ」

●司令室
サコミズ 「よし、そのまま指示があるまで待て」

●山中、森の中
ミライとマリナ、茂みの中からラキュートがはっきりと見える位置に。
ミライ  「こちらミライ、所定位置につきました」

●司令室
コノミ  「誘導ルート付近の住民の避難、完了したようです」
サコミズ 「よし、作戦開始!」

●ウィンガー側のコクピット
リュウ  「GIG!」
イチノモト、スイッチを押しつつ、
イチノモト「『サイレン0057』、起動!」

●山中
ガンウィンガー下部の『サイレン0057』が作動し始め、ライトが赤だったり青だったり黄色だったりと、様々な色に明滅し始める。更に、スピーカーから甲高い音が鳴り始める。
ラキュート「……ンニャァ?」
それに惹かれたラキュート、フラフラと立ち上がり、ガンローダー目指してのっそりのっそり歩き始める。

●ウィンガー側のコクピット
リュウ  「よし、うまくいってるみたいだな!」
イチノモト「しつこいようだが、奴のスピードに合わせて動きを調整しろ。有効範囲外に出ると、どうなるやら分からん」
リュウ  「分からんようなもん使うなよ……」
イチノモト「なんか言ったか?」
リュウ  「いーえ、なんにも」
イチノモト、コクピットから外を覗き見る。

●山中
ラキュート、長いこと立ってなかったせいか少々ふらつきながら歩いている。
千鳥足気味だったが、それでもガンフェニックス目指して着実に歩いている。

●司令室
テッペイ 「今のところは順調ですね……」
コノミ  「このまま何も無かったらいいですけど……」
テッペイ 「なんだか嫌な予感がするなあ」

●山中
ふらふらしながら歩く怪獣。
と、なんといきなりつまづく!

●一同
     「!!」

●山中
つまづき、ふらふらするラキュート。が、なんとか持ちこたえ、体勢を立てなおす。
が、ガンフェニックスが行き過ぎてしまう。

●ローダー側のコクピット
ジョージ 「おい、リュウ!」

●ウィンガー側のコクピット
イチノモト「これくらいならまあそんなに慌てる必要はない。まあ、一応バックしてくれたまえ」
リュウ  「了解っと」

●山中
ガンフェニックス、空中でバック移動。
なんとか元の距離を取りなおす。

●一同
「ふう……」と、溜息。

●山中
再び作戦再開。
ガンフェニックスについていくラキュート。
しばらくは順調に進む。

●山中・森林上空
山と山の間にラキュートが見える。
ミライとマリナ、ガンスピーダーで移動している。運転はミライ。
ラキュートの気をひいたりしないように、なるべく木々の高さぎりぎりの低空飛行。
マリナ  「危なっかしいわね……」
ミライ  「確かこの先は……海ですね」

●ウィンガー側のコクピット
イチノモト「何も起こらんではないか。ツマラン」
リュウ  「ツマランってアンタ何言ってんだ?」
イチノモト「せっかくいざというときの装備を施してきたのに」
リュウ  「いざというときの装備?」

●山中
山間に海が見えてくる。

●司令室
コノミ  「ラキュート、もうすぐ海沿いに到達します」

●海岸付近
山一つ向こうからラキュートが遠くから歩いてくる。
海岸は山一つを挟んだすぐ横にあり、
また、海岸から見える港方面には大きな埋立地が見える。

●ウィンガー側のコクピット
リュウ  「ようやく目的地が見えたか……」
イチノモト「速いな……ツマラン」
リュウ、もはや無視。

●山中
次第に海辺へと近づいていくガンフェニックスとラキュート。
ラキュート「ニャァ!?」
が、突然空に奇妙な光が瞬き始め、そちらを向いてしまうラキュート。

●宇宙
謎の円盤が、光を発している。

●ウィンガー側のコクピット
急なラキュートの行動を見て、
イチノモト「ん?」
リュウ  「なんだ?」

●山中
空からの光は消えたが、ラキュートは依然としてそちらを向いたまま。

●ローダー側のコクピット
ジョージ 「なんだ?一体……」

●山中
しばらくすると、後ろを向き、違う方向へと歩き出してしまう!
その先にはガンスピーダーが!

●スピーダーコクピット
マリナ  「ちょっと、こっちにくるわよ!」
ミライ  「ハイッ!……」

●山中
ラキュートの進路から回避するガンスピーダー。

●ウィンガー側のコクピット
リュウ  「おい!サイレンなんたらってやつ、効果ねえじゃねえか!」
イチノモト「おかしい……先ほどまでは順調過ぎるぐらいだったのに……」
が、どことなくワクワクしているような表情のイチノモト。

●司令室
テッペイ 「このまま行きすぎると、町に出てしまいます!」
トリヤマ 「ええい、なんとかできんのか!」

●ウィンガー側のコクピット
リュウ  「なにか方法はないのか?」
イチノモト、嬉々として
イチノモト「任せておけ!こんなこともあろうかと、緊急用装備をサイレン0057に付けておいた!」

●司令室
テッペイ 「緊急用……」
トリヤマ 「装備ぃ?」

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