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当企画『ウル博オリジナル版・ウルトラマンメビウス』は、円谷プロ作品「ウルトラマンメビウス」の番外編として執筆されております。
そして今回のお話は、冬の時期・2007年1〜2月に放送されるべき物語となっております……
●勇壮なファンファーレと共にメインタイトル
●青空
冬の朝。
青くどこまでも澄んだ空。かなり遠くの方に、真っ白な飛行機雲が。
カメラが下界に下りてくる。
トレーニングウェア姿でランニングしているジョージ。
マフラーのようにスポーツタオルで顔を覆っているが、汗と吐息が白い湯気になって立ち上り、空気の冷たさを表す。
彼の向かう先は、CREW GUYS基地・フェニックスネスト。
(カメラはジョージの背後から見上げ、行く先にフェニックスネストを捉える)
●作戦室(ディレクション・ルーム)
扉が開く。入ってくるジョージ。隊長を除く隊員が既に出勤している。
コノミ 「あ、ジョージさんおはようございます」
ジョージ 「ああ」
ミライ 「今日も鍛錬されてたんですね!(目をきらめかせて感動の様子)」
リュウ 「この寒いのにご苦労なことだな」
ジョージ 「アミーゴ、いつでもプロサッカーリーグに復帰できる体作りはしておかなくちゃな……は、は、びえっくしょんっ!」
マリナ 「あーあー(苦笑)無理しちゃって。早くシャワー浴びて着替えなさいよ」
ジョージ 「しばらくスペインにいたからはっきり覚えてないんだがな、日本の冬ってこんなに寒かったか?」
テッペイ 「いえ、今年はちょっと特別ですね。この辺りで最高気温が氷点下なんて、滅多にないことです。まるで」
リュウ 「あれか、まるで『あの怪獣』でも来てるみたい、ってか?(茶化して笑う)」
(カットイン:上空を飛ぶ飛行機雲。徐々にカメラが近づく)
テッペイ 「(笑)そうですね、まるで北極からペギラでも……」
(カットイン:上空を飛ぶ物体。今度は近づきすぎていて、グレーの体表しか見えない)
そこに入ってくる、サコミズ隊長とミサキ総監代行。
ミサキ 「来てますよ、ペギラ」
一同(口々に)「あ〜、そうなんだ」
「なるほどねぇ」
「道理で寒いわけよね」
「納得ー」
(カットイン:グレーの物体の「顔」をカメラが捕らえる!間違いなく冷凍怪獣ペギラ!)
……
一 同 「……って(キリヤマ口調で)何っ!?」
●オープニング〜サブタイトル
ヒビノ ミライ
アイハラ リュウ
カザマ マリナ
イカルガ ジョージ
アマガイ コノミ
クゼ テッペイ
サコミズ シンゴ
ミサキ ユキ
GUYSオーシャン隊員S
GUYSオーシャン隊員T
脚本/Tommy
冷凍怪獣
ペギラ
有翼怪獣
(CM)
(CM明け)
●作戦室(続き)
呆然としている隊員たち。
にこにこしているミサキ女史。
どんな顔していいか解らないのできょとんとしているミライ。
テッペイ 「あ、あの、来てますよって」
ミサキ 「ええ、来てますよ」
コノミ 「冷凍怪獣が、ですよ」
ミサキ 「ええ、来てますけど何か問題でも」
リュウ 「問題でしょうが!怪獣ですよ!」
ミサキ 「いつものことじゃないですか」
……
一 同 「何ですとぉおおおお!?」
テッペイ 「あ、あの、ですね、いつものといいますと」
ミサキ 「ああ、皆さんはまだ入隊して1年経っていませんでしたね」
と、ミサキ女史、サコミズ隊長と顔を見合わせて微笑む。
サコミズ 「一般には公開していないんだけどね。40年ほど前、ペギラは南極から北極に大移動し、それからも数年に一度、極地を行き来しているんだ」
ミサキ 「最近では、5年前にまた北極に移動して住み着いたようです。それ以来、大移動はしていないんですが、毎年木枯らしの季節、オホーツク気団の南下とともに寒気を引き連れて日本近海上空にやって来てるんですよ」
ミサキ女史がモニタを指差す。一同、一斉に振り向く。
ぱっ
とモニタが出現し、日本本土ほぼ全域を表示する地図になる。やや北よりに画面が移ると、ベーリング海周辺に怪獣の反応が光点として現れている。
……
一同、もう一度一斉にミサキ女史のほうに振り向く。
リュウ 「ってほっといていいのかよ!」
テッペイ 「40年前、東京が凍り付いて大問題に」
ミサキ 「だって、その40年前に既に対処方法が発見されていますから。ご存知ですよね」
今度は一同、一斉にテッペイを見る。
言い返されて、怪獣博士としては「知らない」じゃ済まされないテッペイ、必死でアーカイブを調べる。
キーボードを打つ!モニタが次々と展開する!
隊員全員が注目する。
テッペイ 「ええい、SSSP以前のドキュメントだから探しにくいったら……あっ、あった!」
顔をがばっと上げるテッペイ。
テッペイ 「ペギミンH。極地のコケに含まれる物質で、ペギラが極端に嫌います」
ミサキ 「そうです。ペギミンHを利用すれば、ペギラの進路はコントロールできます。そうすれば、ペギラはただ寒いだけの巨獣です。GUYSアンタクティカとGUYSオーシャンの一部門が一年中監視してますから」
ふうん。
という気の抜けた空気が流れる。
サコミズ 「今も、日本上空の主要空域にペギミンHを満載したバルーンが浮かべられている。もしペギラがぶつかったら大嫌いなペギミンHが放出される。ペギラは都市圏上空に進入してくることは無い」
(カットイン:バルーンが破裂して、緑色のガス状になったペギミンHが放出される。慌てて進路を変更し、バルーンを避けて飛ぶペギラ。あまりの体温の低さのため、周囲の空気に含まれている水蒸気が結露して周囲は霧がかかったようになっている。先ほどとは逆に、カメラが急速にペギラから遠ざかる。するとその霧が飛行機雲になって見えてくる……途中で慌てて急旋回したため、こっけいなほどひん曲がった飛行機雲)
サコミズ 「ただ、」
リュウ 「ただ?」
サコミズ 「今年は、大移動の可能性があるんだ。もし今夜、太平洋側にペギラが抜けたとしたら、今年はペギラが南極に引越しをする年になるかもしれないな。テッペイ、レーダーでペギラを監視しておいてくれ」
テッペイ 「G.I.G.」
……
ジョージ 「ファックショイッ!」
マリナ 「いーから、アンタは着替えて来い!」
画面暗転。
●フェニックスネスト全景(夜景)
冬の澄んだ空気。満天の星が瞬いている。
●作戦室再び
ドアが開き、今度はちゃんと隊員服のジョージが入ってくる。
ジョージ 「んで?ペギラはどこに」
テッペイ 「ああ、そろそろアリューシャン列島上空を越えます。こりゃ本当に大移動しそうですね」
ジョージ 「そうか。今日は俺が夜勤だ、アミーゴ、お前明日大学だろ、代わるから帰れよ」
テッペイ 「G.I.G!それじゃお願いします」
ジョージ 「あぁ」
出て行くテッペイ。
(カメラ、廊下側から)
ドアが閉まる。テッペイ、暖房が強く効いていた室内から出たため、
テッペイ 「はぁっくしょんっ!」
画面暗転。
●もう一度、フェニックスネスト全景(朝)
●またまた作戦室。
すー、すー、すー……寝息が聞こえる。
椅子に座ったまま、居眠りしているジョージ。
ばちっ!
うなだれているジョージの後頭部に鉄拳!
ジョージ 「ぅあいたっ!!!」
そうでなくても俯いていたジョージの首、限界以上に前に曲がってしまい、激痛がジョージを襲う!
鉄拳の主は(カメラが見上げる)リュウ。その後ろからぞろぞろと、ミライ、コノミ、マリナが入ってくる。
リュウ 「あいた、じゃねぇよ!夜勤が寝ててどうする」
ジョージ 「アミーゴ!俺の後ろに立つな!」
リュウ 「殴られておいて言う台詞か!……んで?冬将軍はどうした」
ジョージ 「あ?……ああ、ペギラか」
キーボードを慣れない手つきでいじくる。モニタが展開し、
ジョージ 「昨日はアリューシャン列島から太平洋に入り、北海道のはるか東の海域の岩礁で夜を越したようだ」
(カットイン:自分の体と大して変わらない大きさの岩礁の上に座り込み、両翼で顔を覆うようにして就寝するペギラ)
マリナ 「それじゃ、今年は」
サコミズ 「(彼らの背後から入室してくる)そうだ、GUYSオーシャンはペギラ大移動監視体制に入った。アンタクティカも専門チームを組織した。ペギラの普段の航続距離はそれほど長くない。敢えて陸地に近づけ、小笠原諸島から環太平洋の小島のうち、人的被害が生じない無人島などに誘導して今夜を越させようと思う。コノミちゃん」
コノミ 「は、はいっ!」
サコミズ 「テッペイの講義が終わるのは午後になるから、午前中のうちに適した島をピックアップして、ペギミンHバルーンの設置位置を計算しておいて」
コノミ 「G.I.G!……って間に合いますか?」
サコミズ 「当直さんがやってくれてれば余裕があったんだろうけどね(苦笑)」
一同の冷たい目が、ジョージに注がれる。
ジョージ 「ご、ごほごほ、俺、風邪を引いたみたいだ、医務室で休むわ」
●フェニックスネスト全景
一同の声 「嘘つけっ!!!」
ジョージの声「ふぁくしょいっ!!!」
●上空
太陽が傾き始め、光線がオレンジ色に染まりつつある。
これはペギラ主観。
雲をつきぬけ、また自身の周囲も霧に包まれているので、目線は白く曇っている。
遥か水平線の辺りに、岩肌むき出しの小島が見えてくる。
そこに向かって着地体勢に入るペギラ(画面的には、高度が下がっていく)。
●しつこいくらいにフェニックスネスト全景(夕景)
●作戦室だってば
ドアが開いて入ってきたのは、今度はテッペイ。
テッペイ 「すみません、遅くなりました〜」
コノミ 「あ〜テッペイさん、大学お疲れ様でした」
テッペイ 「コノミちゃん、代わるよ。……(モニタを確認する)あ、すごい、ペギラの進路ほとんど制御出来てるじゃない!」
コノミ 「へへ〜(自慢げ)えっと、今日のペギラさんはお休み早いみたいですよ。現在無人島になってる、多々良島ってところにさっき着地したところです」
テッペイ 「じゃ、今夜はもう安心だね」
コノミ 「あ、さっきGUYSオーシャンから通信が入ってましたよ」
テッペイ 「何々?(渡されたメモを読む)……GUYSオーシャンから調査員が二人、島に明朝上陸するって。ご苦労様だなぁ〜」
画面暗転。
●太平洋の朝日
水平線から上ってくる太陽。
岩山が朝日に赤く染まる。
先日と同じく、翼に顔をうずめるように眠っているペギラが見えてくる。顔に日光が射すが、まだうとうとしている。舟をこいでいる。
カメラが更にPANすると、岩肌の向こうには密林が茂っている。徐々に朝日に照らされ、岩山の影が長く延びてコントラストをなしている。
●対岸
妙にみすぼらしい小船が着岸する。
波に揺れる船から、足元がおぼつかない様子で二人の若者が降りてくる。
一人は金髪の白人。もう一人は日本人。ともに二十歳前後の若者。
日本人 「おえ〜」
金 髪 「っていきなり吐くなヨッ!」
日本人 「だってぇ、夜通し揺られ続けられたんだよ!もう帰ろうよ!」
金 髪 「来たばかりジャンっ!さっさと行くネ!」
泣きっ面で金髪青年を追う、日本人青年。
後姿を捕らえるカメラ。その手前に、しゅるしゅる!と緑色のツタが走る。
(CM)